ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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歌詞から連想した短めのものをつらつら
ジャンル混ざってます
ジンツバ
カイト
鏡音
ジン
下に行くにつれ暗くなる仕様
歌詞と曲名は右から読んでくださいませ
どうしようか散々迷った挙句、私はマフラーをして玄関に向かった。ちょっとした、抵抗のつもりなのかもしれない。
少し待たせてしまった事を謝ると、ジン兄様は大丈夫だよ、と優しく微笑む。
行こうか、と進み始めた足を、私は軽い足取りで追いかけた。
別にどこに行くというわけではなくて、ただの散歩なのだけど、それでも二人だけで外出するのは久しぶりだから、どうしても心が躍ってしまう。
すぐそこで揺れている手と手を繋ぎたいけれど、さすがにそれは、恥ずかしくて口にはできそうにない。思いきって言ってみても、ジン兄様は恥ずかしがってしまいそうだし。
それに、こうして隣を歩いて、一緒に歩いているだけで十分なはずだもの。だって、これもあともう少ししたらできなくなってしまうんだから。
ゆっくり、お話ししながら歩いていると、ジン兄様が私の名前を呼ぶ。
「そろそろ戻るかい?暖かくなってきたと思ったけど、ツバキはまだ寒いようだし」
マフラーを指したそれに、私は慌てて否定の言葉を探す。
少しでも一緒にいたくてしてきたのに、それが裏目に出るだなんて。
「あ…、私は大丈夫です。歩いているうちに段々体も温まってきましたから」
「そう?遠慮はしなくていいんだよ、僕が無理矢理連れ出してしまったようなものだから」
「そんな、無理矢理だなんて、全然そんなことはないです。私も……ジン兄様に誘っていただいて嬉しかったですし」
「それならよかった。でも、ツバキが風邪をひいたりしたら大変だしな…」
す、と伸びた手は私の手を触れるように握った。
思わず固まってしまった私に気付かずに、ジン兄様はこれなら大丈夫か、なんて言って。
当然だ。だって私が、手が熱くなってくるのを感じるほどだもの。
するりと離れていこうとする手を握ってしまったのは、無意識のうちにだった。ああ、顔に血が上っていってる。
ツバキ?ときょとんとした顔で私を見る顔を直視できなくて、でも手を離すには名残惜しくて、しどろもどろに弁解の言葉を吐き出す。
「あ、あの、!やっぱり、ちょっとだけ寒い ので、あ、えっと……このまま、で、いいですか?」
ジン兄様は聡明な方だから、きっと今の言葉が何を言いたかったなんてすぐに分かってしまう。
呆れられて、嫌がられるだろうか、そんなことになってしまったらどうしよう。ジン兄様が口を開く。
「……懐かしいな、手を繋ぐなんて」
力を込めすぎないようにか、ぎこちなくジン兄様が私の手を握り返す。
私は嬉しかったり恥ずかしかったりで、さらに真っ赤になっただろう顔をどうにか落ち着かせ、ジン兄様を見る。でも、小さく笑っていたからきっと、赤いままなのかも。
ありがとうございます、をやっとの思いで口にすると、お礼を言うようなことじゃないよ、とジン兄様が笑う。繋いだ手は暖かいをこえてもう、熱い。
どうかこのまま、春になりませんようにとひっそりと思う。春になれば、ジン兄様は寮に入ってしまって、なかなか会えなくなってしまう。
どうか、と私は、膨れた蕾がたくさんついた?%E:606%#ノ願った。
い嫌大 かんならくさ
窓の月三
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瓦礫や雪を掻き分けて色々なところを探したけど、結局はこんなものしか見つからなかった。
自分がつけた足跡を辿ってようやく戻ってきたら、所々壁やらが崩れしまっているみたいで、どうかあの場所は無事でありますようにと願う。
雪の白と灰色の瓦礫を踏み砕き進む。いくらか時間はかかったけど、やっと彼女が眠る場所についた。
吹き込んできた雪のせいで凍ってしまった髪を見て、そういえば俺はアイスが好きだったっけなんてことを思い出す。もうずっとずっと前の話だ。彼女が降り止まない雪を見て、食べ放題じゃない、なんて軽口を叩いていた気がする。
触れてみたら、昔のような柔らかさはない。当たり前だ。
まあ、こんなことをしていてもしかたがない。俺は持ってきたものを取り出した。
白と灰色ばかりの景色の中では目に痛いような、赤い花。
もちろん本物じゃなくて作り物だけど、彼女らしくない色ばかりに囲まれている状況を考えれば十分だ。
髪についている氷を剥がして、指を使ってどうにか梳いて、花を彼女の髪に飾る。壊れかけのへぼ野郎にしては、上出来なんじゃないかな。
なんだかもう満足してしまったし、やることもなくなってしまった。
せっかく、雪は止んだのに。晴れはしないけど、時々は月が見えるのに。
俺じゃなくて君なら、いろいろ思いつくんだろうな。
色のない、君のいない世界は、こんなにもつまらない。
り独は彼む佇に墟廃
花る降に墟廃
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「もうおいてきぼりは嫌だ。どこにもいかないで」
「うん、いいよ」
「いつでも一緒だよ、小指を交換して約束しよう」
「うん、いいよ」
「まだ足りない。またリンは消えちゃうかもしれない。俺はリンと一つに戻りたい」
「そうしたら、レンも私もよくわからなくなっちゃうけど、」
いいの?
笑顔のリンが、じっと目を覗きこむ。
すぐに返す言葉が出てこない俺を見て満足げに頷いて、リンはくるりと回った。交換したばかりの小指がぐらぐら揺れてる。
ぽん、と軽く地面を蹴るとリンはふわりと夜空に浮かび上がった。
「ねぇレン、ほんとはどうしたい?私がレンを残して消えた時、なにがしたかったの?レンが心からおもう、ホントの願いはなぁに?」
「ほんと、の ?」
俺の言葉に答えず、リンがまた踊るようにくるりと回る。小指がぐらぐらとして今にも落ちてしまいそうだ。
「俺は、」
思い出すのは、思いだしたのは、
リンがもう戻らないのだと、消えてしまった時に浮かんだものは、
言葉にしようとしたその時に、後ろから伸びてきたリンの手に口を塞がれる。
振り返れば、まるで二人で抱き合ってるみたいだ。わかっていると、リンが笑う。
リンの足はまだ浮いたままだ。俺も地面を蹴ると、同じようにふわりと浮いた。
さすがにいつまでもこの恰好でいるのは気恥ずかしくて、代わりにしっかり手を繋いだ。もう小指は揺れない。
向かうところは、口に出さなくても決まっていた。
あの場所。マスターがリンを消した、あそこに行くんだ。そこから、終わらせよう。
「叶えてあげるね、レン」
「ありがと、リン」
い願の滅破 よう叶にぐす
いがねのつめは
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癖の強い、それでいて僕と同じ色の髪がカーテンからさす光をちらちらと反射した。
ほどよく日に焼けた健康的な喉には、それに比べて気味が悪いほど色のない手がきつく食い込んでいる。
二つの目が苦しげに歪みながらも、困惑や憤怒、恐怖、嫌悪をはっきりと映しだす。
そんなラグナを、兄さんを、僕はいったいどんな感情で見て、首を絞めているのだろう。滑稽極まりないが、わからない。
兄さんは僕の記憶と違わぬ姿でそこにいる。だからわかってしまう。あの時に確かな信頼と羨望を持って後を追った存在も、やはり子供なのだ。見上げた背丈はとうにこえてしまったし、こんな暴挙を許すほど、弱い。
兄さんのことだ、あのまま成長していたらきっと、誰よりも強く誰よりも優しくなっただろうに。
命を奪ったのは僕自身だけど、僕と同じ年月を経た兄さんに会いたかった。
「・・・あ」
気がつけば、また兄さんが死んでしまった。あと何回、この夢を見ればいいのか。
終着点に兄さんがいればいいのに。
「会いたいなぁ、兄さん」
た見を夢るめ絞を首の君
解融心炉
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