忍者ブログ
ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

誤字等気になることがあり
ましたら是非ポチっと。只今、
御礼文でヤンデレだらけ




[402]  [401]  [400]  [399]  [397]  [395]  [394]  [393]  [392]  [391]  [390
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



家族が遊んでるだけの話
少しでもじめじめを吹き飛ばそう計画





早朝にたたき起こされ、どこに連れていかれるのかと不安に襲われること数時間。着いたのはとある山中の滝だった。
穴場なのか立入禁止なのかはしらないがここにはレン達以外には誰もおらず、澄みきった水が辺りの草木を青々と茂らせている。
水底には小魚達の影もあり、見ているだけで都会の蒸し暑さなど吹き飛ぶ光景だ。
滝から落ちた水はごつごつした岩々の間で泉になって、下流へと流れていく。その岩の一部から、メイコとルカとカイトが愉快そうな顔をしてレン達を見上げていた。そう、見上げているのである。
レンとリン、そしてミクの3人は滝の流れ始め、つまりは崖の上にいた。
そう高いわけではないが決して低いともいえない。高所恐怖症の人間ならば脚がすくむだろう高さで、リンはにこにこと実に楽しそうに笑う。

「じゃ、どうやって飛び込もうか!」
「なぜそういう話になった!」
「えー。レン、ここでそんなこと言うのぉ?」

ぶすいー、とリンがむくれながらレンをちょいちょいと滝の方へと押す。リン!と焦り混じりのレンの声が響く。
怒鳴りたくなるのも当然だ、とレンはぎりぎりと歯を食いしばる。リンは飛び込むと言ったがレンとしては落ちるレベルだ。予告もなにもなしにいきなり落ちようだなんて、そんなことは脚にジェットがついたサイボーグに言われでもしなければイエスと返すことはできない。

「レン、落ちるのやだ?」
「いやミクねぇ、そういうわけじゃないんだけどさ」
「そっかー。まぁ、先いっちゃうね」
「え?」
「あ、ミクねぇずるーい」

ぽん、と水溜まりを越えるときかのように軽く前に跳び、ふわりと浮いた長い髪、レンの視界からミクはするりと消える。
滝の音と比べると小さい、けどしっかりと水音が聞こえ、それに続いてわーわーと楽しげに騒ぐ姉達の声。
見下ろせば、水の中からミクが大きく手を振っていた。
それに振り返すこともできず硬直していたレンの肩に、リンが軽く手をのせる。見ればやはり、ひまわりの笑顔。まぶしいのは太陽を背に立っているだけではあるまい。

「……マジ?」
「もち!」

ガッと無理矢理レンと肩を組み、さぁ!と踏み出すリンをあわてて引き止める。
まだなにか?と疑問の目でリンがレンを見つめる。若干不満気味だ。
飛ぶのが怖いわけではなく、ただちょっと待ってくれ、とどうにか説明しようと必死に言葉を探すレンの耳に、崖の下からの声援?が届く。

「レンー!あんたまでカイトと同じヘタレなのー?!」
「ちょ、メイコ!俺ヘタレじゃ…!!」
「なにを言うの?カイトはヘタレでしょう」
「ル、ルカ…まで……!」
「当たり前よねぇ?」
「ヘタレが嫌ならマゾヒストとかどうかしら」
「カイト、どっちで呼ばれたい?」
「ああぁもう!どっちも!勘弁して!」

左右からの攻撃に頭を抱えながらも、レン!とカイトは呼びかける。

「無理しなくていいからね!ヘタレとかそんなことできまんないから!」

一瞬、そこにあるのが滝の音だけとなり、その反動のように滝の下が大爆笑に包まれた。
カイトの言葉に固まってしまった片割れをリンが覗き込むと、ひくり、と釣り上がった口角が痙攣した。
それがきっかけだったのか、クスクスと漏れ始めた笑い声は徐々に大きくなる。その様子を見て、リンはにんまりと笑う。
レンが大きく息を吸うのに合わせて、足に力をこめた。

「一緒にすんなよヘタレめぇえええええええ!!」

叫ぶと同時にレンが崖の淵を蹴り、リンもそれに合わせて前に飛ぶ。
中空に体を投げ出し慣れないことで跳ねた鼓動は、水と衝撃ですぐに冷まされる。それに僅かに遅れて首筋を嫌な寒気が走ったが、ゆるく流れる水が拭っていった。
肩を組んで勢いのまま沈んだ水中から見上げると、ゆらめく天井に家族達の影がうつるのが見えた。
浮かんでこないことに焦ったらしい白い腕が綺麗な天井を突き破ったのを見て、リンとレンは口の端から小さな泡をもらす。
あっちこっちと見当違いに動く腕を笑いながら見守っていると、腕に加えて頭に肩と、水面を突き破りカイトが落ちてきた。目を白黒させているということはメイコあたりに落とされたのだろう。
泳げないわけでもないのに慌てまくる兄に、鏡音二人はこぽりとひときわ大きな泡をもらす。
さっきの言葉にいらっときたからなにかイタズラでもしてやろうかなどと考えつつ、レンはカイトに向かって泳ぎだした。







PR
忍者ブログ [PR]