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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

誤字等気になることがあり
ましたら是非ポチっと。只今、
御礼文でヤンデレだらけ




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こんなところですが、あけましておめでとうございます。もうちょい潜りますが今年もよろしくおねがいします。
さぁそしてこの文は、書きかけで年を越してしまった可哀相な文に救済を!というわけではなく、
続きが読みたいけど時間がないから誰か書いてくれないかなぁチラチラッという他力本願な考えで途中までの文を上げちゃうよーという試みです。

暗くておかしくなり気味の話を想定しておりました、が、あまりそこまで書けていない。
どなたか、続きを書いてくださるような天使様がいらっしゃいましたら、軽いノリでご自由に好きなだけやっちゃってくださいませ!





肌寒さで目が覚めた。
薄い夏用の布団の中で体を縮こませながら、私は静かに時計の針を見つめる。時間まであと30秒を切る。どうにか布団をベッドの端に寄せて目を閉じて、3、2、1、

「ルカねぇおはよー!いくら昨日まで仕事だったったったってー、今日のお寝坊は許さないリンちゃんのモーニングコールだよ!」

勢いよくドアが開いて、まだ朝の7時だというのに元気な声が響く。
私はゆっくりと目を開き、3回瞬きをして、ちらりとリンに目をやる。

「今…何時?」
「7時!てかルカねぇー、暑いからって布団かけないで寝てるとお腹壊しちゃうよ?さあさ、ほらほら、早く着替えて着替えて!今日は忙しいからねっじゃあ私メイコねぇ起こさなきゃだからルカねぇも早くね!」
「カイトは?」
「そっちはレン!」

喋りたいだけ喋ってくるりと回って方向転換。足音も騒がしく廊下を走っていった。
それを確認した私は緊張を解いて小さく息をつく。鳥肌がたっているのを感じて、むき出しの腕を何度か擦る。またカイトに熱感知機関を鈍らせてもらわなければいけない。
手早く着替えを済ませ、リビングへと向かうとカイトとレンが朝食の用意をしている。簡単に食べれるようにサンドウィッチだ。
ベーコンを焼いているカイトが私に気付き、彼のおはようの声にレンも続く。
なにを手伝えばいいかと聞けば、カイトが皿を持ってきてと言うので私は食器棚に向かう。
適当な皿を渡せば、じゅうじゅうと音をたてるベーコンが滑り込んだ。嗅覚機関は切ってあるのに焼けた臭いがするようで私は顔をしかめた。

「ルカ、これ持っていってもらっていい?」

カイトがいつも通りの笑顔で言うから、私はどうにか表情を戻して頷く。
熱いだろう皿の端を持ってテーブルに置くと、レタスが挟まったパンにレンがベーコンを加えていき、その一枚を一つ口に放り込んだ。

「カイトにぃー、うまいー」
「それはよかった」
「ルカねぇも食う?」
「じゃあ一枚もらおうかしら」

渡された菜箸でなるべく小さいベーコンを摘んで口に入れる。
咀嚼しながらカイトに向かって頷けば、にっこりとした笑顔が返ってきた。
耳慣れた騒がしい足音が聞こえ、丁度ドアの前辺りに来た時に口の中のものを飲み込む。少し眠そうなメイコがリンに押されてリビングに入ってきた。
ごしごしと目を3回擦ってメイコがおはようと笑うと、元気いっぱい、といった大きな声でリンが言う。

「さあ!みなさん準備はいいかなー?今日、8月31日はミクねぇの誕生日ですねっ!誕生日パーティー開催まであと12時間弱、しっかりバリバリ準備するから覚悟しとけー!」
「もちろんだー」
「リンー、おねぇさんちょぉっと耳が痛いかなー」
「あー、メイコねぇごめんごめん!」

サンドウィッチを持ったままレンがぶんぶんと手を振って応え、メイコは苦笑いでリンの髪を掻き混ぜる。その様子を、カイトが微笑ましそうに優しく目を細めて見ている。私は次に言うのはこの言葉だ。

「それじゃあ、一先ず朝ご飯にしましょう」
「うん!」

元気よくリンが返事をして、止まる。
メイコも金色の髪を撫で回していた手をだらりと下げる。
レタスとベーコンの挟まったサンドウィッチがレンの手から離れ、ぐちゃりと好ましくない音をたてた。
三人の顔から、表情が抜け落ちた。何度繰り返してもこの空白は慣れない。
フライパンを洗う水音だけがしっかりと聞こえて、それが止めば代わりにカイトの声。

「お疲れ様。次は11時だから、それまでにルカはいつもの場所にみんなを連れていってあげてね。俺は買い出し行ってくるから」
「・・・・わかってるわ」
「どうしたの?顔色が悪いよ。それじゃみんなが心配して、ズレ ちゃうな。戻らないようなら、調整する?」
「顔色の方は大丈夫。それより後で熱感知機関の方をお願い」
「ん、わかった」

寒くなってきたからね、とカイトはのんきに笑う。なんでもない事のようなその顔に、私は吐き出しかけた言葉を飲み込むしかない。
それじゃあまた後でと青い後ろ姿はリビングを出て、残されたのは私と、表情もなく停止している壊れかけてしまった家族だけ。
いつまで、こんな不毛な事を続けるの。
そう思ってしまう私は、薄情なんだろうか。
窓の外を見る。どんよりと曇った空の下で、黄色い葉をすっかり落とした街路樹が凍えている。
狂いようのない体内時計が示す今日の日付は、12月4日。
8月31日なんて、とっくに終わってる。



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