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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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いいにーさんの日だから青い兄さんことKAITOの話
といっても、カイトが一人でうろうろまったりしているだけですよ



真っ青な空にやわらかい日差し。
ここ何日かずっと雨が降っていた分、晴れた朝の空気はとても心地好い。
朝食を終えてミク達を送り出したカイトは、やることもなくなったので散歩に出かけていた。
他の家族たちがみんな仕事に出ているのに、自分だけがだらだらとしている状況はやや寂しいものだが、まぁがっつくものでもないし、とカイトは割り切ることにしている。
それに、曲を全然知らなかった昔とは違って今は知っている曲が、歌える曲がたくさんある。
少し気が早い雪の曲を口ずさみながら、カイトは歩き始めた。


つい最近酷い目にあった歩道橋を少し警戒しつつ渡り、見事な黄色に色付いた街路樹を見上げる。
そういえば去年、鏡音の二人が真っ黄色になった大通りを見て喜んでいたっけ、と妹達の姿を思い出して、カイトの顔からは自然と笑みがこぼれた。
どうせだから、とカイトは立ち止まり、ガードレールに寄り掛かる。
そのまましばらく待っていると、一足先に冬仕度を済ませた風が街路樹の葉を揺らした。
ひら、ひら と落ちてきたそれを、地面に着く前にカイトは、ぱし、と捕まえた。この二枚を二人へお土産にするのだ。
葉の茎を持ってくるりと回すと、表裏両方が見事な黄色になっていることが見て取れる。
それに満足したカイトは、二枚をしわくちゃにならないようにポケットにしまって、また歩きだす。


気まぐれに歩いていると、大きな公園にたどり着いた。
木がたくさん植わっているここは死角になるところがいくつかあり、カイト達がたまにそのうちの一つに歌を歌いに行くこともあるので、随分と馴染みの公園だ。
目指していたわけではないが、着いたのならば、とカイトはポケットに小銭が入っている事を確認して、意気揚々とある場所に向かう。
木が立ち並んで日陰になった道を歩いていると、流石に風が吹くと寒い。
愛用の青いマフラーを口元まで上げるが、それでもゆっくりとした歩調は変わらない。寒さを楽しむように歩く。
赤く染まった紅葉なども眺めていると、木の列が途切れて噴水のある広場までやってくる。
もう冬だからなのか、噴水は今は水を吹き上げることなく、やや窪んだ円はここ何日かの雨の残りがあるだけだ。
微妙な時間帯のせいか、よく見る子供連れの母親や、体操をしている老人もいない。
いつもは小学生やらに占領されている噴水の真ん中を横断して、カイトは目的の場所にやって来た。
カイトが来たのと反対の道の脇にある、壁が若干くすんでいる小さな売店だ。
いつもはこんな時間には来ないので開いているか心配だったのだが、杞憂だったらしい。
気分を高揚させながらポケットから小銭を取り出して、バニラアイスを頼む。
たとえ雨の日でも雪の日でもアイスを買っていくカイトは顔を覚えられているらしく、相変わらずだねぇ、と苦笑しながらも店員がアイスを丸く掬い出し、コーンへと載せる。
手渡されたアイスは白の上に淡いピンクが載っており、カイトがキョトンとしていると、サービスだよ、告げられた。
思わぬ事に、子供のような笑顔でカイトがお礼を言うと、店員もつられたように笑って、どういたしまして、と言った。


二段アイスの喜びを噛み締めながら、カイトは来た道を戻る。
アイスを食べながら歩く道は、冷たいものを食べているにも関わらず、行きにあった寒さもなくなったようだった。
夏のように、たれてくるアイスにせっつかれてではなく、ゆっくりと食べれる幸せにカイトは浸る。さっき見た紅葉に目もやらない。
ちまちまと舐めるように食べているので、時間をかけて公園の入口まで戻ってきたというのに、まだバニラが丸々一つと、薄ピンクのストロベリーが三分の一ほど残っている。
それにカイトは機嫌良く微笑んで、鼻歌交じりに公園を出た。


特に行く場所もなく、アイスを買ったことに満足したカイトはそのまま家に帰る事にした。
ストロベリーを全部食べ終えたところでカイトは若干寒気を感じたが、気にせず食べつづけた。
帰ったらこたつでも出そうかな、などと考えて、カイトは通り掛かったコンビニの前で立ち止まる。
VOCALOIDとして、当然のように整ったものとして創られたカイトの顔が曇る。
眼差しも真剣そのものなのだがしかし、悩んでいる内容は、こたつで食べるアイスを買っていくか否かだ。
手に持った食べかけのアイスをじっと見つめ、結局カイトはコンビニに入らずに歩きだす。
アイスを食べながらコンビニに入るのは流石に非常識だし、だからといって急いで食べるには惜しいような気がしたのだ。
後でまた買いにこよう、とカイトは心に決めて、バニラアイスを食べる。
なにしろ、一日はまだ始まったばかりだ。


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