忍者ブログ
ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

誤字等気になることがあり
ましたら是非ポチっと。只今、
御礼文でヤンデレだらけ




[355]  [354]  [353]  [352]  [351]  [350]  [349]  [348]  [347]  [346]  [345
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



兄弟話
相変わらず戦っておられる。
目に指突っ込んだりしてるので、苦手な方はご注意!




ドクリ、ドクリと心臓が動いている。
今までは気にも留めなかったそれは、ジンの感情が高揚するにつれ、大きくなっているようだ。
普段ならばあまり動くことのない表情も今は期待に溢れており、彼を実年齢よりも幼く見させた。
衝動に突き動かされるまま、ジンは人気の無い支部を足早に進む。そして、ずっと探していた姿を見つけた時にはもう、彼は走り出していた。

「兄さん!」

叫ぶと共に切り付けた刃は、名を呼ばれ振り返ったラグナにより弾かれる。その表情は驚愕と嫌悪。
向けられた凶暴な感情に己の首筋がひりつくのを感じ、ジンの口からは歪な笑いが零れた。
耳障りなそれに、ラグナが顔をしかめる。

「ハハハッ!兄さんが、兄さんが兄さんが兄さんが!生きてた!生きてたッ!!僕が、殺したのに!」
「耳障りなんだよ、テメェは!」

数歩分あった距離を一息で詰め、ラグナは己の得物を横に薙ぎ払う。
ジンは軽く背後に飛んでその一撃を避け、気まぐれのように小さな拳大の氷を生みラグナへと飛ばす。
避けることなくそれを砕いたラグナは、ギロリとジンを睨みつけた。
常人ならば竦み上がるようなそれを受けてジンはしかし、まじまじとラグナを見つめて不思議そうに首を傾げた。

「ねぇ兄さん、その右目どうしたの? 真っ赤だ。それに、髪も」
「…テメェには関係ねぇ」
「ふぅん、そう……なら兄さん、 これ あげるよ」

にこりと柔らかく笑い、ジンは己の右目へと触れた。
その行動の意味がわからず、何かの術式を発動させるのではとラグナは警戒したが、それは杞憂に終わる。
剣を握るにしては細い指が一本 ぐい と、翡翠色の虹彩をした瞳を押し退け、眼窩へと潜り込んだ。
爪の半ばほど入ったところでどこかを傷付けたのか、白い肌に粘度のある赤色が伝う。
その突然の行動に、ラグナは反応できず固まるしかなかった。
抉り出す痛みに表情は歪んでいるはずなのに、ひどく楽しそうにジンはラグナに語りかける。

「 ぅ っ…あ はは 、意外と しっかりついて る んだね、 これ」

所々が上擦った声を聞いて、ようやくラグナは目の前の男がなにをしようとしているのか理解できた。彼に言わせれば、理解などしたくなかったのだろうが。
一気にやってしまおうとでも思ったのか、さらに深くまで潜り込ませようとジンは指を動かす。

「 っの、馬鹿野郎が!」

ラグナが乱暴にジンの手を掴み、引いた。
無理矢理抜き出された事で更に血が瞳から溢れ、ジンの手は白かった布地を赤で汚していた。
片目から血を流しながらも、ジンはキョトンとした表情で兄を見る。
黒いグローブをしたラグナの手は、骨を砕きかねないほどの力でジンを掴んでいる。

「兄さん? 痛いよ」
「お前、馬鹿だろ。何やろうとしてんだ」

怒気が満ちた声。
ジンはラグナの怒りの理由がわからず、ただ答える。

「これ、兄さんにあげようと思って。だって、兄さんの目は両方とも緑色でしょ?」
「気色悪ィ事ぬかしてんじゃねぇよ」
「嫌なの?兄さん」
「当たり前だろうが」
「でもなぁ…」

ギリ、とラグナはさらに強くジンの手を絞めあげる。
やや眉をひそめ、ジンが不服そうに言った。

「ねぇ、兄さん。これじゃあやりにくいんだけれど」
「知るか」

解放する気のないラグナの手に、しかたがなさそうにジンは左手を添えた。
冷たい空気が纏わり付いたとラグナが感じるやいなや、透き通った氷が痛みと共に、ジンが触れた箇所から生み出される。
それに素早く反応しラグナは手を放し、同時にジンへ強烈な蹴りを放った。
腹部への衝撃にジンが倒れこむと、のけ反った喉をラグナは踏み付ける。
あと僅かな力を加えれば命を刈り取れる、そんな状況でもラグナの顔は不愉快そうに歪み、躊躇した。
その隙を逃さずに踏み付けている足が凍りつき、舌打ちをしてラグナは飛びのいた。足に力を込めて纏わり付いた氷を砕く。
喉をおさえ、小さく咳こみながらジンが立ち上がった。口元には、笑み。

「でも、やっぱりいいかもね、その目も。死神、ラグナ=ザ=ブラッドエッジには、血の色がよく似合うっ!」

目に追えない速さで剣を抜き、冷気を纏ったそれを振り下ろす。
ラグナは咄嗟に大剣で防ぐも僅かに間に合わず、衝撃波となって放たれた氷刃が襲いかかった。いくつもの浅くない傷がはしる。
狂った笑い声と共に、ジンが迫る。

「アハハハハハハッ!!ほら、やっぱり似合う!でもね、 まだ足りないっ!!」
「クソがッ!」

振り抜かれた氷剣をラグナは大剣で地面へたたき落とし、ジンの喉元を掴み上げる。
剣を落としたジンは先程までの殺気が嘘のように霧散し、脱力して血に濡れた手をラグナへと伸ばした。
何か言葉を発したようだが、絞められた喉からはひゅう、という空気の音しかしない。
それでも満足したのか、狂った笑みを浮かべたジンに、ラグナは不快そうに手に力を込めた。
笑い顔のまま、ガクンと首の落ちたジンをラグナは床に放り出す。ドサリ、という音すらもラグナには煩わしい。

「 つぅッ」

先程氷によってつけられたばかりの傷が急激に閉じていくのを感じ、ラグナは呻く。人の持ち得ない回復力は、若干の痛みが伴うのだ。
傷が閉じた事を確認しながら、ラグナはジンが触れた頬を手で拭う。
黒いグローブは、べったりと付いた弟の血で汚れていた。















----------
これをギャグ路線にするには、ジンのセリフを、
「ねぇ兄さん、その右目どうしたの? 真っ赤だ。それに、髪も。厨二病なの?それとも邪気眼?右腕が疼く…っ!とか言い出すの?」
にするだけでもうokですよ!!


PR
忍者ブログ [PR]