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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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学パロなカイトとアカイト

喧嘩話です




「おっぼえてろ!!」

そんな、使い古されて今時再利用するのも躊躇うような台詞を吐いて走り去っていく男が数人。
自分がいるのと別の道へ消えていった後ろ姿をどこかで見たような気がして、アカイトは首を捻る。30秒ほど考えたが、思い出せないのでその程度なのだろう、すぐに思考から切り捨てた。
しかし彼は今、暇だった。彼女とは別れたばかりだし、適当に話しながら帰る友人も今日は見当たらず、一人で帰っていた矢先の喧嘩である。
もう本番が終わっているのが物足りないが、それでも面白いのがいるだろうと、アカイトは男達が出て来た路地を何の気無しに覗き込んだ。

「あっれ、なんか珍しい奴がいる」
「っあ、アカイト!お前!!」

汚れたビルに背中を預け、足を投げ出して座っていたのはカイトだった。
全体的にぼろぼろで青い髪は汚れ、口の端は切れているがそれでもアカイトを見る目の光は強烈だ。その光の色はもちろん、怒り。

「こんなとこで喧嘩するとか、お前キャラちがくね?」
「キャラ違うに決まってんだろ!お前のせいで喧嘩するはめになったんだけど俺!」
「え、なに、カイト、俺のために戦ったとか…?ごめん俺そういうの無理やっぱどうしても女の子が好きなんです」
「ちっがう! ため じゃなくて せい !」

声を張るカイトを上から鼻で笑って、アカイトはその正面の壁に背を預ける。どうやら事の成り行きを聞くつもりらしい。
喧嘩なんて妹分のためぐらいにしかしないような男である。しかし今その妹分達は近くにいないようなので、別の理由で彼は喧嘩をしたらしい。それも、殴り合いを。
そんな理由が面白くないわけがないと、アカイトはニヤつきながら問いかける。

「で、なにやったのお前」
「…『おいてめぇ髪染めたぐらいでオレらから逃げられるとでも思ったのかぁ?!こちとらそっちの顔は嫌ってほど覚えてんだ、この前の恩、百倍にしててめぇに返してやるよ!』」
「なんだいきなり。暴れたりないとか?」
「…近道しようとしてここ通ったら、今の台詞を言われて、囲まれた」
「へぇ?じゃあつまり、」
「お前に間違われたんだよ、馬鹿!!」
「っははははは!なんだそれ、だっせぇ!」

ゲラゲラと笑い声がビルの隙間をうめつくす。
一片の罪悪感もないといった様子のアカイトを見てカイトは一つため息をついて、笑い続ける男を無視して愚痴を零す。

「ほんと、あいつらなんだったの…俺、違うってずっと言ってたのに殴ろうとすんのやめなかったし…」
「ハハッ、とりあえず馬鹿だったんだろ」
「それ以前にさ、アカイトが喧嘩なんかするからいけないんだろ!」
「はぁ?俺はあいつらと喧嘩なんてしてねぇよ?」
「じゃあなんでお前に喧嘩売るんだよ」
「喧嘩はしてない。ただあいつらの携帯ブッ壊しただけだ」
「はぁ?!なにやってんの!!」
「いやー、なんか携帯踏み潰す本読んだらやりたくなって、つい!」
「やりたくなるなよ……!」

カイトは思わず頭を抱えて空を見上げる。青い空がビルの隙間から見えた。視界の下の方にアカイトの髪色も見えたらしく、げんなりと顔を歪める。
そんなカイトの反応を見てさらにニヤリとした笑いを深めると、アカイトは壁から背をはがしてカイトの方へと手を伸ばす。

「そんで?お前は勝ったのかよ?」
「勝ったよ。あいつら逃げてったし」
「あっちは走って逃げれて、お前は手ぇ借りなきゃ立てないってのに?」
「…………」

無言になって、アカイトの手を掴もうとしたカイトが固まる。
素早く手をひっこめて自力で立ち上がったはいいが、足元がおぼつかず道の隅で山となっていた古新聞につっこみそうになる。
その腕をアカイトが掴んで、笑った。

「お前に楽勝なんて無理だから、喧嘩なんてやめとけば?」
「俺が喧嘩したかったわけじゃない…」
「面白そうな事は俺んとこまで持ってこいって言ってんだよ。俺が遊ぶ」
「そうは言ってもさ、アカイトと俺って喧嘩おんなじくらいでしょ」
「…………」

無言になったアカイトの視線が冷え込む。顔は依然笑ったままだということが、カイトに嫌な予感をもたらす。

「ほんっとにおんなじぐらいか、今、試してみようぜ、カイト」
「ちょ、俺けっこう腹とか殴られて今痛いんだけど…うわ、もう痣になってる!」
「わざわざ弱点を晒すなんて、俺もなめられたもんだ!!」
「ちが、!」

目と鼻の先を通過していった革靴に、もう勘弁と言わんばかりでカイトは走って逃げ出し、当然それをアカイトが追う。その顔は凶悪な笑みで輝いていたと、たまたま二人を見かけた彼らの友人は証言した。


その後必死で鬼を振り切り寮に帰ったカイトは、アカイトと同室である事実を思い出し廊下に崩れたという。
















兄さんに鼻血を出させようか悩んだのは秘密

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