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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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カイトとレン
レンがぐるぐるしている話
ほのぼのっぽいつもりですがちょっと気持ち悪いかもしれません





「ただいまー」
「あ、おかえり」

そう言って振り返ったカイトにぃは、右目を押さえて困ったように笑った。
どうしたのかと首を傾げると、カイトにぃはきょろきょろと辺りを見回していて何か探してるみたいだった。

「どうしたの?」
「いや、たいしたことないんだけどね。右目調子悪くって。レン、工具箱知らない?誰か俺のやつ持ってっちゃったみたいなんだ」
「あー、そういえばこの前メイコねぇがここでなんか弄ってた気がする」
「メイコか…ここにあるかな」

リビングの中をうろうろするカイトにぃはまだ右目を押さえたままで、距離感が無くなってるのかあっちこっちぶつかりそうになってて危なっかしい。
俺も探すの手伝おう、と思って持ちっぱなしだった鞄を机に置いたら、カイトにぃが あっ と声を上げた。
工具箱を見付けたのかと思ったら俺の方を見て、あ、いや、机の上?
なんだろう、虫でもいたの か な  、

「う、うわあああああ?!!!!」

俺が鞄を置いたすぐ横、そこにゴロリと転がっていたのは、球体に何本かの細いコードを伸ばした、その、眼球なるもので。白い部分に綺麗な青が円を描いているのが目についた。
ああ、カイトにぃが右目押さえてる理由がわかりましたでもなんだろう言って欲しかったんだけど!
俺がでっかい声を出したもんだから、カイトにぃがそそくさとよってきて適当に転がされていた眼球を左手の中に隠した。
人間みたいなのじゃなくて、ネジとかとおんなじようなものだってわかっているけど、自分の体と同じものなんだから俺の動揺もわかってほしいよ。焦るって。

「ごめんね、レン。驚かせるつもりはなかったんだけど…」
「お、お願いだからもうちょっと隠しておいてほしかったよカイトにぃ…」
「みんなが帰ってくる前にどうにかしたかったんだけどね、工具箱が見つからなくてさ」

そこまで言って、なにかに気付いたらしくカイトにぃがはっと息をのんだ。実は足も一本取れてましたとかはやめてくれ!

「どうしようレン、今俺両手塞がっちゃってる!このままじゃ探せないから、目をどっかに置いといていい?」
「それはやめようよカイトにぃ、ホラーだから…」
「でも右目はもっと嫌な感じになってるんだけど」
「で、でろでろーって風に?」
「それとは違うんだけど…」
「じゃあ大丈夫だ、 と 思うよ。う、うん、大丈夫大丈夫平気!!」
「…本当に?」
「だーもう、本当だって!ほら!」
「うわっ」

ぐだぐだうるさいからカイトにぃの右手を無理矢理剥がす。
どんな風なのかちょっとびびってたけど、右手の下は、目を白目も全部黒く塗り潰した、ぐらいの事にしかなっていなくて、さっきの眼球ゴロンより全然普通だった。そりゃ痛々しいけど。
むしろ、なんか、残念なような、このままがいいような、不思議な、感じだ。
まじまじと見ているとカイトにぃの左目が右に左にとふらふら動いて、気まずそうに口を開く。

「あのさ、レン、若干恥ずかしいから、」
「あ、ごめん」

気まずさが俺にも感染して慌てて視線をそらしたら、テレビの裏に、なんだか見覚えがある箱が。

「カイトにぃ、あれ工具箱じゃない?」
「え?どれ…ほんとだ!」

テレビの裏にあった箱を開けて中身を確認したカイトにぃはそれを右手でもって立ち上がる。
とりあえず安心した、みたいな感じの顔だ。

「ありがとうレン。俺、今から部屋でなおしてくるから」

そう言って笑ってリビングから出ようとするカイトにぃに、俺はなぜかこんな事を口走った。

「別にリビングでなおしてもいいんじゃない?」
「え?」

きょとんとしたカイトにぃの顔。いや、俺がその顔をしたい何いってんの俺!頭がぐるぐると変な方向に回ってる間にも、口だけは勝手に何か言ってる。たぶん、なおしかた教えてとかそんなよーなこと。
変な事言うなぁ、ってからかうように笑って、カイトにぃがテーブルについて工具箱を開けていろいろと並べ始める。
なんかもうわかんないけどいいや、と俺は考える事を放棄して、カイトにぃの正面の椅子に座った。


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