ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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ミクとリン
よくわからないなにか
超個人的実験です
たん、たん、とまな板を叩く音に、ぱらぱらと窓を軽く打つ音が混じる。
今日は夜から雨が降るでしょう、という朝の天気予報が脳裏に浮かんだ。
夜、と時計に視線を移す。夜は8時16分から始まるらしい。
いつの間にか、ミクが帰ってくる予定の時間はすぎていた。
リンは切り終えた肉を乱雑に沸騰した水で満たされた鍋の中に入れ、包丁とまな板を洗っていく。
雨音と水道の二つの水音がリビングに満ち、リンはごしごしと入念に手を洗った。匂いが付くのが嫌なのだ。
ガチリ、と鍵が開く音、そして玄関が開いて足音が廊下を移動する。
先程より軽い音でドアが開き、ミクがリンを見つけてただいまを告げる。
そのまま鞄も置かずにキョロキョロと部屋を見回した後、ミクはリンに尋ねた。
「あれ、お兄ちゃんは?」
「カイトにぃ?多分まだ、帰って来てないよ」
泡だらけだった手を洗い流し、リンは水道を閉める。手からは石鹸の匂いがした。
リンの答えを聞いたミクは、あれ、と首をかしげる。傘を持っていなかったらしく、ぽたりと長い髪や服から水が滴りリビングに雨を降らせる。
「お兄ちゃん、今日は晩御飯家で食べるって言ってなかったっけ?」
「んー…そうだっけ。あ、違う違う」
そこで一旦言葉を区切り、煮立つ鍋の中で踊る肉を見てからリンはまた言葉を続ける。
「ミクねぇと帰ってくるって言ってたよ」
「そうだっけ?」
「てことは、どっかにおいてきちゃったみたいだね」
ぼたぼたと雨を降らせたまま、ミクは窓に近付き外を眺める。雨は勢いを増して降り続いている。
ふと、思い出したようにミクが棚へと移動して絆創膏を取り出した。
キッチンからそれを見ていたリンが声をかける。その顔は暇そうだ。
「怪我?」
「うん、ちょっと。猫と遊んでたらひっかかれたの」
ひらひらと振った手には二本の筋が入っており、そこからうっすらと中の鈍色が覗いている。
「そこ、濡れてたら危ないんじゃないの?」
「あ、そうかも」
「はやく拭いた方がいいよ、ミクねぇ。川ができちゃってる」
「ほんとだー」
自分が歩いてできた川にようやく気付いたらしく、ミクは慌てて部屋から出て行き、タオルで頭を拭きながら戻ってきた。
リンは冷蔵庫をあさっており、エクレアにラップがかかっているのを見つけたらしく、食べる?と小首を傾げる。
「あれ、でも晩御飯食べちゃったならお腹いっぱいだったり?」
「平気平気。さっき運動したらお腹へっちゃったし」
「運動?」
「雨降ってきて、走って帰ってきたからね」
「あぁ、そっか」
エクレアエクレア、と口ずさみながらキッチンに寄ってきたミクに皿を手渡して、その時にリンも一つ取ってかじりつく。
生地からはみ出た白いクリームが頬について、それを指で拭い口の中に持っていくと、わずかに石鹸の匂いがした。
テーブルに皿を置き、ミクが椅子に座ろうとするとごとん、と固い音。先程置いた鞄に気付かず椅子をひいて、その勢いで落ちたようだった。
重そうな音に、機械の類でも落としたのかとリンが見遣るが、散らばる小物はどれもあんな音は出さないようなものばかりだ。音の源はどうやらテーブルの下に落ちたらしく、ちょうど見えない。
あぁ、やっちゃった、とミクが慌てて落ちたものを鞄に入れると、ぽたり、と水の滴る音がリンの耳に入った。
「ミクねぇ、それ中身も濡れてるかもよ?」
「へ?あぁあああ!大変!」
鞄を覗き込んであわてると、ちらりとリンを見てから鞄を掴んだ。
「洗面台にいってくるけど、エクレアは後で食べるからね!」
「わかってるわかってる」
ぱたぱたと宣言通りに走りさっていった姉を見送って、リンはキッチンでひとつ伸びをした。
何の気無しに付けたラジオではちょうど天気予報を流していた。朝には雨は止むらしい。
遠目から窓の外を伺う。
雨は先程よりも勢いを増して窓をたたき付けていた。
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薄気味悪いよくわからない文章を書いてみたかったんですが、撃沈
目標は、・・・ん?って気分の文だったんですが、普通の話になってしまった
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