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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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年末年始企画!
カイコさんがメイトさんのお部屋をお掃除な話 です
年明けてますが、年末の話
ほのぼのしております



忘年会やらなんやらのせいで、ここ最近ろくに帰れていなかった我が家に到着。
昇ってきた太陽が眩しい。寝不足の目には辛いものがある。でもまぁ、二日酔いにはなっていないから、他の奴らに比べたらまだマシなんだろう。
朝日に隠れながら鍵をあければ、若干久しぶりな気がする廊下のおでましだ。
なんか水分をとってさっさと寝よう。アルコールの臭いが染み付いた髪が気になりはするが、今ならシャワーでも溺死する自信がある。
部屋を横切り冷蔵庫を開け、ペットボトルに入った水を飲んで一息。
眠気でぼんやりした頭が若干晴れた。
あー、…?、家出る前なんか冷蔵庫まで辿り着けなくて朝飯諦めたような記憶があるが、気のせいか。
もうベットまで行く気力もない。ソファーでいいソファーで。
ペットボトルをそこらに放り投げて、テレビの前にあるソファーの元へ。この時期に布団がないのはさすがに風邪ひいちまうか。いやでも今寒くねぇし平気だろう。
ん?俺いつ暖房入れたんだ?
うつらうつらしながら頭を回す。つっても空回りだが。
結論、寒くないからどうでもいい に至り、さぁてソファーに倒れこm 、?!

「っぁっぶね!」

無理矢理姿勢を変えて避ける。おかげで倒れた先は床だった。いやでも、女の子を潰すわけにはいくまい。
眠気なんか剥ぎ取られたようで、いやに冴えた目でソファーを見る。
じっくり見るまでもない。そこにはカイコが寝ていた。
寝室から持ってきたのか、毛布もしっかり肩までかけている。

「……なんでだ?」

家に来る、という連絡はなかったはず…いや、騒いでるときだったら気付けなかったかもしれん。
それにしてもどうするか…一応、もう朝日は昇る様な時間で、起こしたってそこまで問題ないだろうが。
こんなにすやすや眠ってるお嬢ちゃんを起こせるか?普通。無理だね。
カイコはソファーに寝て、俺は床に座ってるからいつもより顔の位置が近い。
どうせだからと観察。カイトと似たような顔だが、やっぱりきちんと女の子だ。
強烈な色気があるわけじゃないが、全体的に漂う柔らかい雰囲気のなかにちらっと出てくる挙動が魅力的だと思う。
どう考えてもわざとじゃないことは判るんだが、それでもわざとなのかと訊きたくなるほどにツボを心得ている。
大分前になにやらレンがカイコを見て赤くなっていたが、あいつはメイコ見てもだれ見ても似たような反応だからなー。まぁ、あの年で恵まれた環境にいるよな、あいつは。いや、ある意味恵まれてないのかもしれない。

「  ・・ 」
「お?」

もぞり、と毛布が動き、ぼんやりとした瞳がこっちを見た。
寝起きがしゃきっとしないのはカイトシリーズ共通なのか?

「メイト…さん?」
「おう。おはよう」
「おはよ・・ござ ます」

ごしごしと目をこすりながらカイコが起き上がる。
これでなんでいるのか訊けるが、寝起きの女の子にいきなり用件を突きつけるのはないな。
とりあえず飯でも作ってやるために立ち上がろうとすると、むにゃむにゃとカイコが何かを言った。
上げた腰をまた床に戻す。

「あの、メイトさん、昨日はかってに部屋に入っちゃって ごめんなさい」
「いいっていいって。でも鍵どうしたんだ?」
「マスターに…」
「ああ、マスター」

あの人は今なにやってんだろうな。そういえば俺に連絡が来たのも随分前だ。

「でも、俺いなかったけど大丈夫だったのか?なんか用事あったんだろ」
「はい   マスターに、メイトさんの家の大そうじを頼まれたんです」
「大掃除?」

あ、あぁ。なるほど。俺の記憶は間違ってなかったってわけか。
確かに、物が散乱して冷蔵庫まで辿り着けなかった。
でも、それをカイコが掃除しといてくれたってわけか。素晴らしいな。きっといい嫁さんになる。
カイコは一つあくびをしてからソファーから立ち上がった。ぱたんと毛布も畳んで。さすが、掃除関連は強い。

「メイトさんがいないけど、とりあえずやってしまおうと思ったんです。でもこの部屋とキッチンを片づけたら、ついつい寝ちゃって…」
「いや、あの状態をこんな綺麗にしてくれただけですごい。ありがとう」

そう言うとカイコははにかむように笑った。良い笑顔だ。
仕事を褒められるのは、誰にされたって嬉しいんだろう。パステルカラーの花が周りに漂っているのが見えそうだ。
とりあえず、朝飯は何を食べるのか訊こうとしたら、カイコがある一室のドアに手を掛けた。ん?ちょい待て。

「カイコ、そこ俺の寝室だけど」
「はい、知ってます。これも借りたので」

抱えて毛布をちょっと上げてアピール。うん、寝室から出したのは気づいてた。
でもちょっとまずいような気がしないでもないんだが。
そんな俺の予感も知らず、カイコはほんわりした笑顔で続ける。

「それと、朝ごはんの前に片付けちゃおうと思うんです。ここも」
「いや!ちょっと待とう!カイコ!!」
「?」

ドアノブに手を掛けたまま停止してくれるカイコ。朝っぱらから叫ぶ俺。御近所迷惑にもほどがあるなおい。
しかし、叫ばずにはいられない。
この部屋に散乱してるのはせいぜい雑誌や楽譜、空のボトルやらと人目に、いや、女の子の目にさらしてもそう毒にならないものだった。だが、寝室は別だ。
軽く考えただけで毒になりまくるものが溢れている気がする。どうか気のせいであってほしいが残念なことにその可能性はゼロに限りなく近い。
ベットの下なんてベタな場所には置いていないが、積んであるものが何かの拍子に崩れたりしたら、隠されていたお宝が見つかってしまうだろう。
慌ててカイコの後を追い、やんわりとドアノブから手を剥がした。
キョトンとした青い瞳から逃れるように素早くドアの隙間から寝室に入り、顔だけ出す。

「こっちは俺やるよ。自分の家だしな」
「そうですか?なら、私が朝ごはん作りましょうか」
「あぁ、よろしく頼むよ」
「それじゃあ、これもお願いします」

差し出された毛布を受け取り、何使ってもいいから、と告げて部屋に引っ込む。
危なかった…メイコならまだ冷ややかな目、悪くて拳程度のものだが、カイコに見られるとなると、こっちの罪悪感がとんでもないことになっただろう。
ふぅ、と息をつき、きのことか生えたらいやだなぁとか思いつつ部屋を見回す。いや、湿ってないからさすがにそれはな…………

ガチャリ

「なぁ、カイコ…」
「どうしました?あ、玉子が危ない感じだったから、スクランブルエッグにしてます」
「それは問題ない、んだけども。部屋、」
「 ? あとベットサイドの所だけだと思ったんですけど、時間かかっちゃいますか?ご飯遅らせましょうか」
「い、や…なんでもない………遅らせなくても大丈夫だ」
「はい!」

ガチャリ

部屋を見回す。もう一度見回す。うん、綺麗だ。
床に散乱していた服はもちろんのこと、アレエリアもきれいさっぱりだ。
ベットサイドが残っていると今言っていたが、それも俺にとっては十分許容範囲。
なにがどこにあるかも、常識的に考えればすぐわかる場所に納まっている。
ゴミはゴミ箱に。服はタンスに。CDはCDラックに。DVDも同じく。そして本、もちろん雑誌も、綺麗に本棚に並んでいる。

      あぁ。素晴らしいね。

どんな顔で片づけてくれたのか、想像したいような…いや、やめよう。俺は女の子には紳士的に、をモットーにして…
………
……………………………、
とりあえず、カイコが朝飯を作り終えるまでに、この罪悪感をどうにかしよう。
それとこれから、きちんと掃除しよう。
まぁ、こっちは、無理そうだが。



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