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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

誤字等気になることがあり
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御礼文でヤンデレだらけ




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年末年始企画!
カイトとリンレンがほのぼのとお散歩してる感じの話 です
上記の三人と、ちょっぴりメイコ



「ていっ」
「うわ、ちょ、」
「ひひ!いくよ必殺技!」
「あ」
「そしてさらにもう一発!」
「あああああぁぁぁ…」
「ふっふーん、私の勝ちぃ!」

1P WIN の文字が画面に踊り、レンが悔しそうにうなだれる。
隣に座るリンがにこやかにレンの肩を叩いた。

「まだまだ修業が足りないんじゃないかな?」
「うぅっ、もう一戦!」
「えー、私もう勝ったからなぁ」
「この前リンがそう言うからもう一戦やったじゃん」
「そうだっけ?じゃあもう一回やってあげよっかなー」
「しかも今の、俺の持ちキャラじゃないしね。次はキャラ変えるからぜってー勝つ」
「おぉ?言うねー」

いそいそと次の対戦の準備を始めた二人の背後に、ゆらり、と影が一つ。
嫌な予感がしたらしく、レンがちらりと振り返ると、そのまま動きを凍りつかせた。

「なにをもう一回やるって?」

聞こえてきたのは、耳慣れた美しい声。
リンもそれに釣られて振り返ると、立っていたのは完璧な笑みを浮かべたメイコだった。
しかしその表情と裏腹に、纏った空気は地獄の業火を彷彿とさせる。
問い掛けの言葉にもかかわらず口を開くことを許さない威圧感に、二人はコントローラーを持ったまま竦み上がった。

「ちなみに、私達は大掃除をやってるんだけどね」

手にしたはたきをメイコが軽く振る。しかし鏡音の耳に届いたのは、鋭く空気を裂く音だ。
勇気をフル稼働し、リンが口を開く。

「て、てつだ」
「そう?なら頼み事していいかしら」

こくこくと千切れんばかりの勢いで頷くと、メイコがドアを指差す。
玄関掃除でも頼まれるのかと予想した二人だが、メイコの言葉は全く違うものだった。

「外で、遊んできなさい。今からリビング掃除するから」





放り出されたリンとレンは、あてもなく道路をぶらぶら歩いていた。
太陽は明るく輝いているが、如何せん風が冷たい。
寒さに震え、お揃いの黄色いマフラーに半分ほど埋まった顔は、これまた二人揃ってしょんぼりとしている。
先程のメイコの言葉は、暗に邪魔だと言っていた。
もちろんそれは鏡音の二人が掃除が苦手な事や、掃除をしようとしなかった事からで、言われても仕方がない言葉なのだが、それでも二人はショックを受けていた。
秘密基地がある公園に行く気にもなれず、手を繋いで住宅街を歩く。
どんよりとした気分をどうにか払拭しようと、レンがわざと大きな声で喋りだす。

「あーあ!いくらなんでもひどいよなー、メイコねぇ。だって、カイトにぃが来る前ってさ、家の中すっごいことんなってたんだろ?たしか」
「うん、自分のこと棚に上げてさー」
「今日大掃除やってたのだってきっとたまたまだよ」
「そうだそうだ。去年ってやってたっけ?」

気まぐれに口に出した愚痴は止まらず、次々と続いていく。
あーだこーだとあらかた言い終わると、二人の間に沈黙が訪れた。
言っている間は気にはならなかったものの、二人は気まずさに、どちらともなく顔を見合わす。
結局は黙りこくったまま歩いているうちに、駅の近くにやってきたのか、道に人が増えてきた。
その中の、駅の方向から歩いてくる姿をリンとレンが同時に見とめる。
真っ青なその色はこの辺りでは彼しかいない。
買い物を頼まれていたらしく、両手に袋を下げた彼に向かって二人は手を繋いだまま駆け出した。

「「カイトにぃー!!」」
「わっ、二人ともどうしたの」

ぎゅっと飛びついてきた弟妹にバランスを崩しかけながらも、カイトは尋ねる。
リンが顛末を話すと、あー、と苦笑いで二人の頭をぽんぽんと撫でた。

「それはたしかに、しかたないかもな…」

その言葉に、リンとレンはギッとカイトを睨み上げる。

「カイトにぃもそんなこというなんて!」
「酷いな。ほっぽりだされてへこんでる弟達に対してそんな事言うのかよ」
「う、ご、ごめ」
「もういい!」

ぱっと二人がカイトからはなれる。
どうすればいいのかと焦っているカイトの腕を片方ずつ掴んだ。

「カイトにぃを拉致ってやる!」
「後でメイコねぇに遅いって怒られちゃえばいいんだ!!」
「ちょっ、と!リン!レン!」

家とは別方向に引きずっていく二人に抵抗するも、悲しいことにスペック差のせいで全くの無意味に終わっている。
子供二人に楽々引きずられる青年という、あまりにも情けない姿に道行く人々の好奇の視線が向けられる。
それに耐え切れず、カイトがついに観念した。

「わかった、一緒に行くから!ちゃんと自分で歩くよ!」
「カイトにぃも怒られる?」
「うん、だから引きずるのやめて!」
「絶対だよー?」

いきなり手を離され、危うく転びそうになるのをどうにか避ける。
ふぅ、と機械の体に出るはずのない汗を拭くと、カイトは持っていた袋を手首まで通して両手を空けた。
それを片方ずつ二人に差し出す。

「はい、手を繋ごう。散歩しよう」
「うん!」
「カイトにぃゲットー」

しっかりとそれを掴んだリンとレンは、ご機嫌に笑った。
ぽつぽつと会話しながら適当に歩いていくうちに、住宅街に入り、雑踏特有のざわめきが消える。
どこも年末を家ですごしているのか、普段はちらほらといる通行人も今日はほとんどいなかった。
自然と会話が途切れた間に、リンが唐突に歌い始める。
カイトとレンはぎょっとするも、レンの方はすぐに、にぃっと笑ってその歌に参加する。
ステレオで流れる歌声に、カイトも小さく笑って声を加えた。
3人が歌っているのは、彼らが発表される前の、プロトタイプの頃に歌った曲だった。
滑らかな音階のそれは複雑な技巧を必要とせず、だからこそそれぞれの声の特徴が浮かび上がる。
一番最初の曲だ。
テスト用のために短く作られているそれは、すぐに終わった。
カイトが懐かしさに目を細めながら言う。

「久しぶりにこの曲歌ったなぁ。どうしたの?急に」
「うん?もう今年もおしまいかぁって思ったら、なんとなく」
「あれだろ、リン。初心忘れるべからず、ってやつ」
「あ!そうそうそれそれ!」

ぶんぶんと腕を振り回して鏡音二人は話しており、間に挟まれたカイトは袋達と共にひっちゃかめっちゃかになっている。
さすがに袋の中身やら胃の中身やらが危なくなってきたので制止しようとカイトが口を開くが、その前にぴたりと二人の動きが止まる。
どうしたのかと二人を見ると、レンがぽつりと呟いた。

「やっぱ、怒られたら謝んなきゃなあ…」
「そう言われてたもんね…」

うん、とリンが続いて、二人が前を向いた。
なんのことかと考えていたカイトだが、思い当たって微笑んだ。

「偉いな、二人とも。それじゃあご褒美においしいもの買って帰ろうか」

ちらり、とリンがカイトを見る。

「うれしいけどさ、カイトにぃ。早く帰って謝りたい…」
「俺も…………あ!」

はっとレンが顔を上げる。
リンもなにか気づいたのか、二人は泣きそうな目でカイトを見上げた。

「カイトにぃ…」
「俺達、外に行ってろって、言われてるから…いつ帰っていいかわかんない……」
「どうしよう…」
「じゃあ、電話で怒ってないか聞いてみるよ」

二人を安心させるように笑いかけ、軽く手をほどいてから携帯を取り出す。
心配そうな二人の視線を受けながら電話をかけると、ほどなくしてメイコが出た。
頼んだ物をまだ持って来ないカイトにメイコはずいぶんと怒っていたが、掃除も終わったらしく、リンとレンのことはもう許しているようだった。
むしろ、言い過ぎたかもしれない、と不安がっており、そんなメイコにカイトは思わず笑ってしまった。

「大丈夫みたいだよ」

じっと見つめていたリンとレンにそう言うと、ぱぁ、と二人の表情が笑顔になる。

「ほんと?!」
「帰ろう!早く早く!!」

カイトの腕を掴んで、リンとレンが走り出す。
あまりにも速く走るのでカイトが転びそうになると、二人は走ったままカイトを両脇から持ちあげた。ぐん、と走るスピードが上がる。

「ちょ、ちょっと二人とも?!おち、っ、!?」
「だって早く帰りたいし!」
「こっちのが速いし!」
「っ、う、そだぁ!」

物凄い速さで走るうちに、カイトの顔はどんどん青くなっていくが、リンとレンの口から笑い声が漏れ始める。
二人の笑い声とカイトの叫び声が静かな道に響き渡った。














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喧嘩したり仲直りしたりしてればいいと思うんだ!


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