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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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ハザマとジン
病院脱走に関する妄想
タイトルに片想いとか使ってますが恋愛要素はないですよ!!
若干流血しております



「あれ?キサラギ少佐じゃないですか。なんでこんなとこにいるんです?」
「ハザマ大尉…」

真っ白な外壁に身体を預けながら歩くジンを、ハザマは見つけた。
彼の記憶ではジンが退院するのはまだ先のことだったはずだ。身につける衣服も病院で支給されるそれである。
病室を脱走してきた様子のジンに、ハザマは大袈裟なほどの大きな溜息をついた。

「あーあー。確か、まだ動けるような怪我じゃなかったですよね。なのに病院を抜け出したりして…折角あなたを拘束した私の身にもなってくださいよぉ」

疲弊しているにも拘わらず、強い意思を孕んだ翡翠色の瞳がハザマを睨みつける。
死にかけた獣の様な姿に、ハザマは小さく笑いをもらした。
それが癇に障ったらしく、ジンの瞳が鋭くなる。

「…邪魔だ。僕の邪魔をするのか?それならば、」
「切り捨てるまで、ですか?これはこれは。今のあなたにそんな事はできないでしょうに。ほらっ」
「 ッ」

嘲笑いながらハザマが放った細い鎖は、いとも簡単にジンの左腕を搦め捕る。
そのままジンを引き倒そうとする鎖に抗い腕に力を込めると、過剰にかかった負荷のせいで傷口に痛みが走った。
小さく漏れた苦悶の音に、ハザマの口角が釣り上がる。

「戦闘が本業じゃない私に捕まってしまうだなんて。まだ寝ていたほうがよかったんじゃないです?ここも、血が滲んでますよ」
「っ、貴様、やめろ」
「ヤですよ。ここで放したら少佐、逃げちゃうじゃないですか」

力を緩めれば即座に体勢が崩される事を理解し、ジンは迂闊には動けない。
ギリギリと鎖を引きながら、ハザマは捕らえた左腕に巻かれた包帯を鷲掴む。
殺意の篭った瞳を笑みで受け止め、包帯を取り払いその下にある大きな裂傷を曝け出した。
抜糸が済んでいない、閉じかけの間から赤色の滲むそれを見ると、ハザマは躊躇いなくその傷を引っ掻いた。
こじ開けるように傷に添ってはしった爪の後から、赤色が次から次へと溢れ出してジンの腕を濡らす。
けらけらと残酷にハザマが笑った。

「こんなにおっきな傷がまだ閉じてないのに。痛くないんです?いい子にして寝てなきゃだめですよ、キサラギ少佐。お家の方からも、怒られちゃいますよ?」

聞き分けのない子供をなだめるような口調が、ジンの神経を逆撫でした。
首筋が粟立つような違和感。
温度が下がるような感覚がハザマを襲い、耳障りな音と共にジンを拘束していた鎖がちぎれる。
瞬間、ハザマの笑みが固まる。

「うるさい」

突き刺すような冷たい声でジンが言う。
鎖を断ち切ったそれは、彼の右手に握られていた。
纏わりついていた鎖を無造作に払い、氷刀で斬りかかる。
寸での所で飛びのいたハザマはそのまま距離をとり、再び笑みを浮かべる。

「ユキアネサですか。怖いですねぇ」
「消えろ。今すぐだ」

ふざけた体を崩さない言葉をジンが切り捨てる。
已然道を塞いでいるハザマは道を開けるつもりはないようだった。今更のように困りきった声を漏らす。

「私としても、イカルガの英雄に立ちはだかりたくはないのですが、病院を抜け出したあなたを見過ごす訳にはいかないんですよ。大人しく帰っていただけませんか?」

もはや返事もしないジンに、ハザマはふぅ、と息をつく。
深めにかぶり直した帽子から、金色の瞳が覗いた。
取りだした、刃を閉じたままのナイフを弄び、満月のようなそれにジンが映る。

「実力行使ですか。私、戦闘は苦手なんですけどねぇ。まぁ、仕方がないですかね。それに少佐は怪我をしているし、私にもなんとかなるかもしれません」

だらだらと血を流す腕を見て目を細めると、パチン、と音を立ててナイフの刃を出す。
一段と研ぎ澄まされたジンの殺気の前で、ハザマは笑みを崩さなかった。

「この際、怪我が増えても仕方がないですよね、少佐」

同時に繰り出した鎖をジンが避ける。
それを想定していたハザマが距離を詰め、血を流す左腕にナイフを滑らせた。
新たな傷がついた腕を捨て、ジンが蹴りを放つ。
頭部を狙い、仰け反ったハザマに軌道を変えて横から引っ掛けるように首を狩る。
ハザマは床に叩き付けられるがそのまま転がり距離をとる。
追撃は無く、ゆっくりとした動作で立ち上がると、膝から床に崩れているジンを笑った。
離れ際でハザマのナイフが、まだ癒えていない足の傷に重ねるように奔ったのだ。
己を支える事を放棄した足にジンは舌打ちをする。
いたたたた、と攻撃を受けた首をわざとらしく擦りながらハザマがジンに近づいた。

「ほうら、やっぱり動きが鈍い。どこに行くつもりだったかは、まぁ、知りませんけど、そんな様子じゃ暴漢に襲われてしまいますよ」
「・・・・・死ね」
「物騒ですねぇ」

ハザマを狙って巨大な氷が生まれた。
それを笑いながらそれを避け、ハザマは鎖で氷刀を絡め飛ばす。
魔素が霧散し、氷がかき消えた後にジンの首に鎖を掛け、乱暴に床に引き倒した。
鎖を引き無理矢理顔を上げさせ、金の瞳がジンを見下ろした。

「さぁ、ベッドに戻りましょうか、英雄殿」
 














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一回ぐらいハザマさんに見つかって戻されたりしてたっていいんじゃない、という妄想!!
ハザマさんは一人で延々と喋らせておきたいぐらい台詞考えるのが楽しいです
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