ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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学ぱろ
カイトとアカイトとメイコ
放課後
相方が必死になって参考書と問題集に向き合っている。うー、やらぐぬー、やら時折漏れる声はやる気あんのかよって殴り飛ばしたくなるが、こいつは大まじめらしい。
いまいち興味もしないのに読み終えてしまったバトミントン雑誌を置いて、あまりにも暇だから窓の外に目をやる。あー、この学校の図書室よくできてる。グラウンドも見えねーからよそ見したってつまんねぇよ。
いつの間にか図書室にも誰もいなくなっているし、時計を見るともう7時ちょっと前だ。なにこいつ、どんだけ勉強すきなの?
さすがにもう帰らないと寮長のアホがうざいし、空も嫌な雲が流れてる。帰るには絶好のタイミングだろ。
「おいバカイト、もう帰んぞ」
「お願いあと一問!最後にこの問題終わったら!」
がばっと勢いよく顔を上げて、また勢いよく顔を問題集に戻す。ておい、ちょっとまて!
「おま、なに書いたのまた消してんの?!あとどんぐらいで終わらせるつもりなんだよ!」
「ちょっとまってあと20分したら俺の隠された力が爆発するはずだから!」
「はぁ?!20分もだと?!アホか!」
俺はもう帰りたい寝たいゲームしたい!
やつの鞄を奪い取って机の上に出てた参考書とかその他もろもろを流し込む。うああー!とか叫んでるけどしるかあとで考えろ!
そういうと、アカイトはなにもわかっていない!とかどっかのでこっぱちみたいなことを言いって鞄をつかみ取った。
「あー…疲れたー!」
「そっすか」
カイトがぐいぃと上から引っ張られてんじゃねえのってような伸びをして、ようやく図書室からでる。司書のおばちゃんに超見られてたのは、俺がかっこいいからってことにしとこうか。
たらたら暗い廊下を歩いているとカイトが不満そうに口を開く。
「アカイトはさー、勉強しないの?」
「はぁ?してんだろうが」
「だって俺が今勉強してたのにさ、お前ずっと雑誌読んでたじゃん」
「いや、お前がおかしいだけだぜ?」
俺がー?なんて間の抜けた声。テストが終わったその日から勉強し始めるなんて俺には堪えられない!
靴を履き変え玄関に出ると黒い空。夜の空とは微妙に違う、雨が降るぜーってのを主張しまくった黒さだ。
「雨降るかな?」
「お前、傘もってる?」
「俺今日忘れちゃったんだよね。あ、アカイトが持ってるわけないのは知ってる」
「うぜぇー」
「だって本当だろ?」
「…………まぁ」
けらけらカイトが笑う。そうしたらタイミングよくぼたっという雨の音。なかなか大粒。
「雨だ」
「だね」
「なに、カイトが笑ったら雨降ったってことは、お前実は蛙だか山羊?」
「なんでそのチョイス?」
「え、お前しらねぇの?」
「うん」
「こんぐらい知っとけよー」
なんて言ってる間にみるみる雨の勢いは強くなって、今はもうバケツをひっくり返した感じだ。これを傘なしはきっと雨が痛いな。
「どうする?止むの待つ?」
「たりぃから走って帰っちゃおうぜ。」
「えー、参考書濡れそう」
「抱えて走りゃいけんだろ」
「まじかー」
ふと、雨音に紛れて靴の音がするのに気付く。振り向けば、めーこちゃんがいた。
「あ、メイコせんせも今帰り?」
「ええ、ちょっと仕事が残っちゃって」
「テストの採点?俺の全部丸にしといてよめーこちゃん」
「アカイトが全部正解書いたらいいわよ?それと、先生」
「それができないから言ってんだよ、めーこ先生…」
わかってるわ、と満面の笑みで返された。ダ、ダメージでかい。
「あんた達、帰らないの?いくら寮が近くてもこんな時間まで残ってるのは流石に私も怒らなきゃいけなくなるんだけど」
「俺達傘忘れちゃったんだよ先生」
「もしよかったら傘に入れてもらったりはしても…いい?せんせも確か寮だったよね?」
「え、なに。あんた達も忘れたの?私も忘れちゃったのよ」
走ってかえろうかしらー、なんて呟くめーこちゃん。
ん?メーコちゃんがこの雨の中走って帰る、と…すkry。
カイトを見ればやつも気付いた様子。ど、どうする!これはどうするべきなんだ俺は!
カイトはアイコンタクトで俺に寮まで走って傘を取ってくるべきだと訴えてる。で、でも!この夢のような事象を易々見逃したら俺は全国5000万人の綺麗なお姉さん好き達に殺されてしまう!
俺は出来るかぎりの爽やかな表情を浮かべて先生に話し掛ける。
「めーこ先生、一緒に走r「メイコせんせ!アカイトが寮まで傘とりにいってくれるって!」
カイトの野郎!
ギッと睨み付けてもヤツは素知らぬ顔だ。
「あら、助かるわ!ありがとう!」
にっこりと本当に花みたいに笑った顔が、俺だけに向けられる。さっきまでの葛藤が見事にふっとんだ。
こ、この笑顔のためだったら俺、全国 5000万人の綺麗なお姉さん好き全員を敵に回してもいいよ!
「じゃ、じゃあ俺行ってくっから!カイトとめーこ先生はここで待っててな!」
「いってこーい」
「そんなに急がなくていいからね」
「了解!」
321で一気に走りだす。雨は予想よりも強め。
でもまあいいだろ。
美人の笑顔に動かされるんだから!
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めーこせんせは一体なんの教科の先生なのか
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