ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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学ぱろ
カイトとアカイトとミクとリンとレン
昼休み
「俺もうだめだこんな点数じゃ大学どころか卒業できないかもしれない……」
屋上に来た時からどんよりと無言で昼食を食べていたカイトがようやく言葉を発し、周りはようやく安堵した。いつも嬉しそうな顔でアイスやアイスやアイスの事を話している彼は、ただ黙っているだけで周囲の人間を不安にさせる。今までの時間はなかなか心臓に悪かった。
カイトの横でコロッケパンにかじりついていたアカイトが、今までの重苦しい沈黙をはねのけようと話を続ける。
「なに、お前ってそんな頭悪かったっけ?」
「…だってさ、世界史と現文が、あれだったじゃんか」
「あぁ、あれはね……」
アカイトとは逆のカイトの隣に座ったリンが苦笑いをした。
「しかも英読ずっこけちゃって……俺、もうほんとにだめだあー」
たしたしと力無く屋上の床を叩く姿は見るもの全てに憐れみを感じさせるかのようだった。ここでようやく、ミクがネギ巻きを飲み込み終えて、にこやかに口を開く。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん!私、お兄ちゃんと同じ学年になれるの楽しみにしてるよ!」
「ちょっ……!」
「ミクねぇ、それ………っ!」
レンとアカイトが揃って大きな笑い声を上げた。カイトは予想外の攻撃にうぁぁ、と弱々しい声と共に床に肘をつき頭を抱える。当のミクはなにが面白くてなにが悲しいのかをいまいち理解していない様子だ。
仕方なしにリンがミクに説明するが、リンも笑いを堪えているようで若干口がニヤついている。
「ミクねぇ、それじゃあカイトにぃが留年決定しちゃってるよ。それも2年!」
「え……、あ、そうだね。ごめんねお兄ちゃん!」
でもお兄ちゃんと一緒に授業うけてみたいのー、というミクの謝罪に、カイトは潰れたまま、へいきへいきーと応える。ただ、まったく平気そうには見えないが。
その様子に、笑いっぱなしだったアカイトがようやく笑いを引っ込めて言う。
「おいカイト!お前はこれからミクとのワクドキハイスクールライフがやって来るんだ!今復活しないでどうする!」
「そうだよカイトにぃ!いつまでも床と仲良くしてないで、現実と戦って!もう負けてるけど!」
「大丈夫、今のお前に出来ないことはないよ!!思う存分現実と向き合って!」
「そしてフルボッコにされて!!」
レンもその悪意100%の応援に加わり、言い終えると二人は大笑いを始める。
対するカイトは、レンにはともかくアカイトには確実に反撃するだろうものだがその力すらないようだ。
「でも、お兄ちゃん結局何点だったの?」
「そうだね、カイトにぃが悪いって思ってる点でもそんなに悪くないかもよ?」
「それはない…………だって42点だったし」
沈痛な面持ちで呟くカイトに、中学生組とテストの点だけは取れる高校1年はそれはへこむね…と憐れみの眼差しを投げかける。
だが、残りの高校3年は虚をつかれたような顔をして、一言。
「それって、良い点じゃねぇの?」
冬の風よりも冷ややかな沈黙が数秒。後に彼の言葉を理解したカイトが、心底悲しそうな、世の尽きせぬ争いを憂う賢者のごとき目をして口を開く。
「ごめんアカイト、なんか、俺、ほんとごめんな」
「は?」
突然の謝罪にわけがわからないという様子のアカイト。だが彼以外の人間はカイトの言葉を深く理解していた。
「え、なに?お前ら急に、どうした?」
「うん、アカにぃ…ほんとごめんね」
「俺も調子のった………ごめんアカにぃ」
「な、なんだよ?!悪くない点だろ?!40越えたんだから!!」
急に重くなった空気の中であわてふためくアカイトに、ミクがそっと手にしたネギ巻きを差し出す。
「アカイトさん、これでも食べて元気だして!大丈夫、リン達もアカイトさんのことちゃんと受け入れてくれると思うよ!ね、そうだよね?」
「うん、私、アカにぃと同じ学年になっても大丈夫だよ!」
「俺も気にしないよ!偏見なんてもたないから大丈夫!」
数秒の間。
カイトに目をやれば、一緒に卒業したかったな…と寂しげに呟いている。後輩達のキラキラした目が、先程の言葉は全て善意からのものだと表していた。この展開の意味をようやく理解した彼は、自分の顔がみるみる赤くなっていくのを感じ、そして学園中に響き渡ろうかという音量で叫ぶ。
「あー、おまえらイイヤツすぎ愛してるだから俺のために死んで!」
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イイヤツ=イイ性格してるヤツ
あとなんかミクは暗記だけ異様に強そうなイメージあります。
解答丸覚えで良い点とってそう
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