ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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プラントパロ続き
プラントなカイトと研究員なアカイトとニガイト
もはやパロなのかなんなのか・・・模造だらけです。
近未来チック
壁かと見紛うほどの大きさをした黒色の機械に、小型のパソコンの端末を繋げてアカイトは作業をしていた。
時折笑ったりしているので、おそらく喋りながらやっているのだろう。その様子を見るたびに、なぜそれで作業のスピードが落ちないのかとニガイトは疑問に思う。
アカイトに渡さなければいけないデータがあるのだが、談笑する中に割って入るなんて、ただでさえ社交性が低いニガイトには些かハードルが高すぎる。
距離が1メートルあるかないかというところでニガイトは嘆息し、書き置きでも付けて置いておこうかと考えた。
いつも白衣のポケットに入っているメモとペンを取り出したところで、不意に彼の名前が呼ばれる。
「あ、ニガイト」
「ん?」
「!」
突然の事に思わずペンを取り落とすと、ころころとそれは転がっていって声の主、プラントの外殻にあたって止まった。
彼の声でニガイトに気付いたらしいアカイトは、そのペンを拾い上げてようやく深緑の髪をした小柄な顔を見遣る。
「なんだ?ニガイト」
「…データ。シロイトに言われてる…よね?それで、使うと思うから」
「あー。あんがと」
「あと、昨日の実験のデータ、欲しいんだけど…」
ニガイトがポケットから薄く、親指の爪ほどの大きさのメモリを出してアカイトに渡す。
それをパソコンに取り込んでアカイトは再び作業を始めた。
ニガイトはとくにやることもなく、てもちぶさたにきょろ、と辺りを見る。アカイトに話しかけるという選択肢は、先程の用件を最後に会話のネタが在庫切れになったので、彼には当然ない。
しかし、見るといってもここはニガイトにとっても慣れ親しんだ場所で、視線は当然いつもはないもの、つまりプラントへ移る。
青い瞳とばちりと視線が合い、軽く笑いかける彼にニガイトもぎこちなく微笑み返した。
「ニガイト、久しぶり…ってあれ?そうでもない?」
「…うん、昨日の午前中に合ったよ」
「あー、そうだったね。午後に生産したから、久しぶりな気がしたのかな」
「……カイトも、そういうのあるんだ…」
「そういうの?」
「あ、そのなんか、勘違い…みたいなの」
「まぁ、あるんじゃない?俺、結構古いし」
ゆっくりと会話をしていると、アカイトが不意に顔を上げた。
会話に参加するだけならアカイトは作業をしながらでも普通にするので、その手を止めまでの事なのだから、なにか深刻な事でもあったのだろうかとニガイトの顔に不安が浮かぶ。
「ニガイト」
「…うん」
「カイトって誰?こいつ?」
そう言って指差す先には青いプラント。ニガイトはしばし首を捻って、口を開く。
「え…アカイト、昨日の午前中いなかったっけ?」
「いねぇよ」
「あぁ、そうだ…アカイト寝坊したんだ」
「それは置いとけ。で?」
「アカイトが寝てる間、みんなで話して、決めたんだ。みんなっていっても、所長もシロイトも、いなかったけど……だって、三人ともプラントって、わかりにくいから」
「ニガイトがつけてくれたんだ、カイトって。そういえばアカイトに言ってなかったね」
「へー…」
「翠の子がミクで、あっちのお姉さんがメイコ。それで俺はカイト。いい名前でしょ」
「あー…」
急に返事がぞんざいになったアカイトに、残りの二人は顔を見合わせる。
ニガイトはそれとなく視線でどうしたのかとアカイトに尋ねたが、彼は作業に戻り画面を見ているのでその視線は読まれないまま終わる。
考えるまでもなく、話さないことを尋ねるのはニガイトの苦手な事だ。研究に関わるような事ならともかく、名前云々の流れの先の思考はわざわざ聞かなくてもいい気がして、ニガイトは余った間を息にして吐き出した。
しかし隣のカイトは苦手意識などないようで、何の問題もなくアカイトに尋ねる。
「どうしたの?嫌だった?」
「ちげぇよ。なんでもない」
「そっか」
青色の瞳でじっとアカイトを見る視線にさすがに居心地が悪かったのか、アカイトはちらりと顔を上げる。
「んだよ」
「いや、なんとなくだけどさ、アカイト、」
「あーもう言うな!言わなくていい!そうだよ、なんか疎外感感じただけだっつの!ガキ臭くて悪かったな!!」
「へ?」
そう怒鳴り付けて、アカイトはパソコンの中に入ろうとしていると思われかねないほど画面に顔を近づけた。
それがどうやら照れ隠しの類らしいと気付いて、ニガイトはぽつりと呟く。
「……らしくないね」
「うっせぇ!」
すぐさま顔を上げて反駁してきたアカイトに、ニガイトは怯えたように一歩二歩と後ずさる。カイトは苦笑いでそれを見ていた。と、
ピピッ
軽い音がして、三人がパソコンに目をやる。メールが来たらしい。
カタカタと軽くキーを叩いた後、アカイトが僅かに目を輝かせながら言った。
「プラントに似たものが見つかったらしい。しかも、こい…あー、カイト達より大きいのが」
「カイト達より、大きい…ここに入るのかな…」
「片せばなんとかなるんじゃね?」
「そんな、友達が部屋に来るんじゃあるまいし…」
ぼそぼそと喋るニガイトにはきはきと言葉を返していると、アカイトは周囲が僅かに明るくなっている事に気付く。
ぼんやりとした光は、最近は慣れて来た、プラントが放つものだろう。
しかし発光するのはカイトが初めて発現した時と、なにかを生産した時しかない。そのどちらでもない今、この明るさの理由をアカイトは尋ねた。
「おい、なんでひかっ………カイト?」
「……どうしたんだろう…?」
先程まで表情豊かに会話していたはずのカイトは、その視線を宙に固定しているように思えた。
が、おそらく何も見ていないのだろう。瞳から意思の色が読み取れない。ストンと感情が抜け落ちたカイトは、まさしく彫刻のようだった。
その間、光は強くなるわけでもなくぼんやりとした明るさを保っている。
他のプラントには異変は起きていないかと見回すが、変わったところはない。
「なんだ…?」
「……全然、反応がないね。プラントも、フリーズするのかな…」
繋がれていた計測器の表示も先程と変わりなく、カイトだけが固まっている。
カイトの視線の先あたりでぱたぱたと手を振るもやはり反応はなく、どうしたものかと首を捻った。
それが何かのきっかけになったわけではないのだろうが、タイミングよくふつりと光が止まる。
カイトは再び表情を戻し、まるで寝起きを見られたような苦笑いを浮かべていた。
「今の、どうしたんだ?」
「あーっと、ネットワークに繋いでたんだ。ごめん、なんか変だった?」
「…無表情になってた、よ」
「いつもより深く潜ってたからかな…?その、大きいプラントに心あたりあってさ、ちょっと話してたんだ。こっちに来てるみたいだね」
「あぁ。で、話せるってことは、そいつはもうお前みたいになってんのか?」
「うん、起きてるよ」
笑顔に懐かしそうなものを加えながらカイトは答える。
それに対して他の二人は渋い顔をしてチラリと視線を交わした。
「なぁ、そのプラントにここに来るまで大人しくするように言っといてくれ」
「なんで?」
「運んでる奴らにあんま印象もってほしくないんだよ。人型が目についたら、気になるだろうから」
「噂になったりしたら…大変になる、かもだし……」
「うん…?わかった。言ってくる」
再び静かに発光を始めたカイトから視線を外し、いくつかキーを叩いてからアカイトはパソコンからメモリを取り出した。
それをニガイトに渡しながら、呟く。
「今のメール、メイトからのやつで多分お前んとこにもいってんだろーけど、」
「…?」
「こいつらを新しい資源にする動きがあるらしいぜ」
「資源……でもさ、そうしたら」
「ロスト・テクノロジーが大嫌いなやつらが、喜んで潰しにくるだろうな」
「………」
「だから、あんま感情移入しないようにな」
黙り込んだニガイトをそのままに、アカイトは言いたいことを伝える。
渡されたメモリをじっと見つめながら、言葉を飲み込んでいるらしいニガイトが、珍しくその深緑色の瞳をアカイトに合わせた。
「……アカイトもね?」
呟くようなその言葉がアカイトに届くのと同時に、プラントの放つ光も消えた。
じゃあまた、とカイトに別れを告げてニガイトは部屋の外へと向かう。
それを見送って、アカイトはガリガリと自分の髪を掻き混ぜながら、見えない空を求めるように天井を仰いだ。
やっとこさ兄さんがカイトになりましたよ!!
メイコとミクに喋らせたい
というか全体的に ? が多いのはどうなんですかたぬぃさん
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