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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

誤字等気になることがあり
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御礼文でヤンデレだらけ




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カイトとメイコとちょっとだけレンとマスター
暗くて最初のほうは気持ち悪いかもです





「それじゃあまた後で」
背中を向けたまま足早に去っていくのを見届けてアスファルトを跳ねた雨水が気持ち悪くて俺もこれ届けてこなきゃいけないんだけどやっぱりいつも通りにその背中を見ていた。
マスターはまだまだやらなきゃいけないことがあって、徹夜続きでよろけながらも大急ぎで歩いていく。そういえばさっきの会話もいつもより速かった。早くやりなよってみんな言ったのに、平気平気、だなんて言って案の定これなんだからまたメイコに怒鳴られるだろうに、その様子は想像じゃなくて思い出すだけで事足りるんだからマスターも飽きない。
ビニール傘を持った後ろ姿に笑みが零れて、しょうがないから今日はマスターの好きなものばっかり作ろう。メイコにはきっとカイトは 甘い とか言われると思うけど大好きな人に甘いのならいいと思うんだ。
マスターがよろよろばたばた角を曲がったのを見送って俺も反対の道に歩き出す。ざぁ、と多分車が雨水を撥ねる音。なかなかのスピードで俺を追い抜かしていってコートの裾がびしょ濡れになって靴の中にも水が入って顔をしかめた。白い部分を黒っぽくする雨水は腹の辺りまでまで飛んできたけどマスターからの預かりものはどうにか守った。そういえばこれは濡れてもいいのか。濡らす気は更々ないけど一応聞いておかなきゃと振り返ってマスターを追いかけようとしたら、違和感。

傘が落ちていた。

雨は勢いよく俺の傘を叩いている。

走る気にはなれなくて、ゆっくり、雨を踏み潰しながら歩く。
急がなきゃいけない気がした。
けど、急いだらいけない気がした。
傘を持つ手がぐらぐら揺れて、縁を伝って雨水が背中にぼたぼた垂れる。
冷たくて、気持ち悪い。
落ちた傘を拾った。マスターが曲がった角の、手前で。
雨音がやけに大きい気がする。
ざーざーと、膜が張ったみたいだ。
さっきのマスターの後を追って、曲がった。


「  ぁ  、 」


あた ま  ?


「 あ 、 ぁあ っ あ あああ 、 あああ あああぁああああああああああああ」


ばしゃりと膝が痛い冷たくてマスターが倒れている寝て伏せて黒が広がる馬鹿みたいに足から力が抜けて傘も預かりものも俺も雨に這いつくばって叩かれるでも手を伸ばしてぐにゃ手繰り寄せたら硬くて柔らかかった。掌につくこれはだめなんだマスターにいるもので大事なマスターで手が熱い首が寒い喉が熱い。ざぁざぁざぁざぁざぁざぁ雨音が聞こえるマスターが聞こえない声が息が水の音が流してマスターを引っ張りだして広げて止めなきゃだめだだめだだめだ黒が付いて赤になってマスターが染みこんでそれでも雨が引きずり出す。雨が鳴る雨が頭にざぁざぁと入り込む。

「―――――――――――――――――――――――――――――――――――」

マスターは 、 動かない






雨が降っていた。
あれ以来、雨の日は彼女を憂鬱にする。
彼が消えても、生活が特に変わる事がなかったというのを強く自覚してしまうからだろう。
酷い痛みはあった。ただその痛みによって習慣が変わることはなく、いくら人間のようだと言われていても、これが機械の限界なのかもしれない。
雨音の中に、時折車が走り抜ける音がまじる。待つことしかできていない自分をもどかしく思うが、メイコはソファーから動かずにいた。
ガチャリと遠くで玄関が鳴り、雨音が近くなる。

「ただいま」

レンの声が廊下を伝ってリビングに届く。
足音が二人分だということに一先ず安堵すると、メイコは用意しておいたタオルを持って廊下を覗き込んだ。
雨の中を歩き回ったせいで服が所々濡れたレンが、再びただいまと告げる。
おかえり、と返しながらその後ろについていたカイトを見ると、ずぶ濡れの髪を顔に張り付かせたまま、力無く笑った。
二人にタオルを手渡すと、カイトは、着替えてくるねと自分の部屋に戻っていった。
それを見送って、二人は一先ずリビングへと戻った。先程のソファーに再び腰を下ろすと、レンはがしがしとタオルで頭を乾かし始めた。

「カイトは、また?」
「うん。俺も、今までの見てたわけじゃないけど、」

彼の体が焼かれて煙になっていった日、あの時から初めての雨が降った。
カイトが家のどこにもいないことに気付いて、メイコもミクも、みんなで捜したのだ。
最後の場所にいるのかとそこに行くもののカイトはおらず、嫌な予感の中で捜すと、カイトは全く別の場所にいた。

「ずっと、立ってたっぽい」

傘もささないで雨の中で立ち尽くしていたカイトをリンが連れ帰って、みんな心配したのだとメイコが怒鳴ると、カイトは力無く笑ってごめんと言った。
二度とするなと言ったにもかかわらず、次の雨の日にまた姿を消したカイトをメイコは叩いた。そこでもまたごめんだけを言って、三度目も同じ事が繰り返された。
それから何度も何度もまた同じ事が繰り返されて、いつのまにか、雨の日にカイトを捜しにいく事はいつもの事になってしまった。
晴れた日は、曇りの日は、以前と変わらないというのに、
あれ以来、雨の日は彼にとって違うものになってしまった。

「ごめんね、任せちゃって」
「いいって。それに、メイコねぇのが辛そうだし」
「そんなことないわ……でも、とんだ皮肉よ。ずいぶん一緒にいたせいで、私には見つけられないなんて」

メイコは膝に肘をついて、俯くように顔を覆う。
ずっと一緒にいたから、メイコがどこを捜すのかわかるのだと、だからメイコには見つけられないだろうと、カイトに「ごめん」の理由を尋ねたときにそう返されたのだ。
それからメイコはカイトを捜さなくなった。せめて、「ごめん」を言わせないために。

「そんなために、家族なわけじゃないのに」

メイコの呟いた言葉にレンはなにも返すことができず、雨の音だけが部屋に満ちる。
大事な人の喪失で日常が歪む事と、歪まない事、どちらが壊れているのだろうと、くだらない問いがメイコの思考にごろりと残った。













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マスター・・・
一番扱いがひどいのは兄さんよりマスターな気がしてきた・・・
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