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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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プラントパロ続き
プラントなカイトと研究員なメイトとアカイト他にもわらわら

近未来ちっくです





空気を吹き出す音と共にドアが開いた。
しかしその音はすぐさま打ち消され、部屋に入って来た男にも聞こえていないだろう。部屋の中には様々な機材が溢れかえり、それを何人かの研究者が慌ただしくいじくり返す音だらけだ。
足の踏み場もないようなそこを男が器用に進んでいく。
よれた白衣に手を突っ込んだまま足場の悪い場所、といより足場にもならない書類の山の上を歩くと、それを目撃したらしいシロイトが咎める。
少し離れたパソコンの向こうから白い頭がのぞき、周りの音に負けないように大きめの声がした。

「メイト!そこに散らばってる書類に足跡をつけないでください。そもそもそれは、全部あなたの処理するものですよ?」
「わかったわかった、靴脱ぐから」
「この部屋を素足で歩くのもやめてください。なにが落ちてるかわかりませんから」
「わかった、後で踏んだやつもどうにかするから、いいだろ?俺まだ触ってもねーんだ」
「運搬の時いたじゃないですか」
「あんときそんな暇なかったって」
「…確かにそうでしたね」

そう言うとシロイトはパソコンの向こうに頭をひっこめた。
止める者がいなくなった足でメイトは足早に部屋の奥に進む。
元はといえば、彼が無理矢理ここに運ばせたようなものなのに、チームの中で触れるのが一番最後だというのはどんな嫌がらせなんだと彼は呟く。
だがその表情は嬉しそうだ。先程の呟きも本音なのだろうがそれ以上に期待が大きいのだろう。

部屋の後方、そこは散乱していた物がぱたりと途絶え、代わりに三つの電球のような巨大な球体が置かれていた。
プラントという、物理法則を超えるすさまじい生産力を持つというそれのうち一つの傍らに、アカイトが何かの計器を持って立っている。
どうやらプラントと会話をしていたようだが、メイトがやってきたのに気付いたようで、声が途切れる。

「よっ」
「所長おっせ。研究する気ないのかと思った」
「しょちょう?」
「さっき言ってたやつだよ」
「あぁ…」
「ずいぶん仲良くなってるみたいだな、アカイト」
「俺だけじゃなくて、所長以外はもうこんなもんだよ」
「俺以外なんて寂しいなー。にしても、」

外殻の内側からこちらを見ているプラントと、アカイトを見比べる。

「お前達ってほんとに似てるな」
「あー…折角俺が気にしないどいたってのに蒸し返すか」

ガリガリと頭を掻いてアカイトがプラントに目をやる。
それは髪や目の色の違いがあるだけで、メイトの言った通り全く同じ造りだった。
アカイトはプラントを初めて見た時に違和感を感じ、それは同じ顔をしているからではとシロイトに指摘されて、なんともいえない微妙な顔をしたという。心躍る研究対象が自分と同じ顔など、興ざめにもほどがある。
その後他の研究員に会うたびその事を言われるので、いっその事チームから抜けてしまおうかとまでアカイトは考えたが、しかし好奇心には負けたらしい。
といっても無理矢理折り合いつけた部分だ。触られれば嫌な顔にもなる。

「なんかお前もプラントと関係あるんじゃないのか?どうなんだ?」
「ないと思いますよ。俺達は人間とは別物ですから」
「へぇ…まぁ研究のしがいがあるってことだな」
「所長ー、俺は研究対象じゃなくて研究者だからな」
「はっはっは、わかってるって」

青いプラントの外殻を一撫でして、メイトは他の二つに視線を移した。
その両方は未だ発見された時のままで、内側の球体に変化はない。

「なぁ、お前みたいなのは他にもあるのか?」
「ネットワークは開かれているので、まだいると思いますよ」

聞けば、プラント達は深層意識で繋がってるらしく、その繋がりをネットワークと呼ぶらしい。
それによると、ほかのプラント達は今眠っているような状態で、いつ起きるかはこのプラントにもわからないという。

「つかこいつ、わからない、が多いんだよ。所長が来るまで暇だったから、ロスト・テクノロジーの事とか聞いたんだけど、全部わかんねーとか言いやがって」
「プラントのことならともかく、他の事はさすがに…」

アカイトは申し訳なさそうに苦く笑う顔を外殻ごしに軽く小突く。涼やかな音は雑音の中でもたやすく耳に届いた。
それは部屋中に響いていたのか、気付けば作業をしていた者達もメイト達に注目している。その顔はどれも、いつの間に来ていたのかという不思議そうなもので、メイトはチームメンバーの、周りが見えないほどの集中力に軽く笑う。
むっとしたように、金の長い髪を一つに纏めた少女がメイトに噛み付く。彼女は横にいる銀髪の女性の助手なのだが、助手とは思えないほど強い意思で研究所長であるメイトに発言してくる。

「所長、いつ来たの?おっそいわよ!」
「実験待ってくれてありがとな。俺ももっと早く来たかったんだけど、なかなか放してくれなくてさ。お待ちかねかい?」
「そうにきまってんだろ?つか、あんたが待たせたんだし」
「愚痴ならもっと上のやつらに言ってくれな。俺に仕事を押し付けたのはやつらだ」
「上のって、そこまでいくと国の中枢もいいところじゃない。そんなとこに一介の研究員が言えるわけないでしょ!」
「それもそうだな。ごめんごめん」

緩く謝罪して、それから研究員達に向き直る。

「みんな、待たせて悪かった。ってことで、今から生産実験を開始する。アカイト、準備は?」
「当然」

問われて、アカイトはプラントの外殻を小さくたたく。

「プラント、よろしく」
「あぁ」

その青い瞳をぱたりと閉じて、プラントは口を開いた。
やわらかい光が溢れ出す。
その光に乗って、流れるような旋律が響いた。
澄み渡る水のような音色だというのにどこか力を秘めており、部屋の中にいる誰もが動きを忘れる。
やがて、光と音が強さを増し、白色だったプラントの球体が透け、羽化したばかりの羽根のような、ひしゃげた翼の影が浮かぶ。
時計の針の音を押し潰す、凄まじい音色。
その旋律に、機械が駆動する低い音が加わってようやく、アカイト達は自分達がただ呆然としていたことに気付く。
突如混じった雑音の根源に目をやると、プラントと繋がってる黒色の巨大な箱のような機械の側面が黒い口を開けている。
1メートル四方ほどのそこから、ゴプリ、と液体が溢れた。
まだどこかはっきりしない頭でアカイトはそれを見ていたが、その周りには水気に弱い機器があることを思い出してあわてて駆け寄る。

「水分出るんなら言っとけよ………お」

ぶつぶつと呟きながら周りの機器を除ける。
とりあえず触れないように、と他の機械の上に重ねていると響いていた音が消えた。
終わったのかとメイト達に目線をやれば、彼らはじっとこちらを見ている。
アカイトの頭に、なにがあるのかと疑問が浮かぶ。それと同時になにか忘れているような気もしていた。
と、背後になにか気配を感じてアカイトは振り向く。そこには、

「おわっ?!」

べちゃりと音をたてて出てきたのはどうやら、肉の塊のようだった。大人が両腕で抱えなければならないほどの大きさのそれは、ずいぶんとグロテスクなものに見える。
間一髪でそれを避けたが、溢れ出ていた液体が白衣に跳ねているのに気付いてアカイトは顔をしかめた。

「今の歌が、生産なのか?」
「はい。指定がなかったので、とりあえず、牛肉を」
「そうか…アカイト、それの検査。ハクとネルはあっちのプラントに変化がないか確認よろしく。あと、――」

滑らかに研究員達に指示を出していき、それぞれが散っていったのを見届けると、すぐさま金髪の少女の高い声がメイトの耳に届く。

「所長!こっちのプラント、発光してる!」
「中央の球体が変形してます…!ど、どどどどうし」

慌てる二人の元へ行こうとするが、メイトは足を止める。彼の近くのプラントもまた、淡く光を放ち始めていたからだ。
傍らにいる部下の報告を思い出して、メイトはちらりと視線をやる。

「これか?」
「はい。青いプラントの時と同じものだと思いますよ」
「そうか…お前は二人の方に行ってくれ。なにがあるかわからない」
「わかりました」

シロイトが向かうのを横目で見て、メイトはもう一方のプラントに向き合う。既に光の中に影が浮かび上がり、人間の形ができているようだ。
先程の生産の影響で動き出したのだろうか、やはり青いプラントと同じ顔なのだろうか、と思考を巡らせる。
プラントが歌う事により行われる 生産 。その原理は一見しただけでは見当もつかない。そもそも、今まで発見されてきたロスト・テクノロジーの内解明されたものなど、ほんの僅かだ。
しかしあの肉が人体に悪影響がないとわかれば、解明されていなかろうがそれは人類によって利用される。使用するのなら、危険性や耐久性も調べなければならないだろう。
となると、青いプラントが喋るのは、少々やりにくいかもしれない。情が、移ってしまうだろうから。

光が弱まり、プラントの内側に美しい白亜の彫刻のような女性がはっきりと見えた。その顔は青いプラントとは違っており、どうしても心の隅が昂揚するのを感じる。
眠るように閉じられた瞼が震え、ライトブラウンと目が合った。












もはやプラントパロにもなっていない模造臭が漂っている気がしますー
なるべくしゃきしゃき進めたいなぁ…

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