ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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カイトとレンで
鏡音さん達が来たばっかの頃を。
よそよそしいレンと
たぬぃが思う兄さんにくっつけられるカッコイイ要素
を込めてみたんだけどどうだろう
「 あ ぁ゛ あーー 、 ー」
喉が少しだけゴロゴロする。それに音が若干ずれてる感じ?
あーあーしばらく言ってたらミクねぇが俺の横を通った。
「喉調子悪い?」
「あ、うん。ちょっとだけ」
「ふぅん」
まだここには来たばっかだから、ここの人達にはあんまり慣れてない。リンはもうがっつり溶け込んでて、まだ微妙に繋がってる回路のせいで呼び名はなんか親しくなったけど俺はいまいち、ね。
そんなわけでじぃっと見られるとすごく反応に困るんですが。この人は顔とか歌はすっごい綺麗なのによく謎な行動をする。なんで葱を振るんだ?
よく不思議な事も言うし、次に何をするかよめないから少しだけ苦手、かもしれない。
「あんまり気になるなら、お兄ちゃんのとこいくといいよ」
「カイトにぃ?」
「うん。お兄ちゃんが調律1番上手にできるんだよ」
「へぇ」
意外だ。あの人はなんかいっつもアイス食べてるイメージしかない。てか、直で話したことないな。
たしかに調律は自分でやるより誰かにやってもらった方が格段に上手くできるのはわかってるけど、まったく知らない人に喉いじくられるのはちょっと。
でもミクねぇはなんかすごいことになりそうだからせめてメイコねぇとか?
あの人とはちゃんと話したことあるしさ。べ、べつになんかやましい気持ちがあったりとかじゃないから!!
「あ、お姉ちゃんに頼むのはやめといたほうがいいかも」
「へ?」
「お姉ちゃんも調律できるけど、たまにいたずらで語尾を変な風にしちゃうの」
「変なって、どんな?」
「んー、お兄ちゃんはこの前、にゃーって語尾になってた」
「…………カイトにぃって今どこいるかわかる?」
ミクねぇが、カイトにぃは部屋にいると思うよって言ってたから来てみたものの、入りにくい。
なんだ?どうするべき?ノックして入ってみるか。いやでもそれで堅い奴だって思われるのもなんだしなあ。ドアを思いっきり開いてみる?これは嫌がられるかもしれない。でもリンならやってそうだな。つかその前にカイトにぃはいんのか?あ、いるか。なんかボスボス布団叩くみたいな音がする。でもああどうしよう。
さっきから右手がドアノブに触れて離れて、その繰り返し。端から見たらかなり挙動不振だなあと思うけど今一歩踏み出せない。
いいやもう。自分でできないことでもないし、部屋帰って一人ガチャ
「レン、さっきからどうしたの?」
帰ろうとドアに背を向ける直前に中からカイトにぃが出て来た。ボーカロイドはやっぱり耳がよくて音をよく拾えるんだよねあはははは…
通り掛かっただけ、と言うには不自然すぎるよなこの立ち位置。
しょうがない。素直にカイトにぃに調律を頼もう。
「あ、のさ、カイトにぃに、えーと、調律やってもらえたらなーって思うんだけど、今ひま、デス カ?」
なんで俺?って疑問詞をぽこぽこ浮かべたみたいな顔をして、カイトにぃは口を開かない。うわあやっぱ失敗したかもうやだ恥ずかしい消えたいかもああミクねぇのバカ別に俺自分でできたもん!
「俺なんかでいいのかな?でもまあ、こっちおいで」
やっぱいいや!って言おうとしたら、カイトにぃが部屋の中にひっこんだ。
え?なに?どゆこと?
れんー?なんて呼ぶ声が聞こえて、俺は思わず開きっぱなしのドアに飛び込んだ。
「じゃあ、そこの椅子にどうぞ」
示された椅子は他の椅子よりも足が長めの、調律用の椅子だった。
カイトにぃは落ち着いた茶色の色合いをした棚から真っ白い救急箱を持ってくる。
近くに椅子と机を引っ張ってきて正面に座ったカイトにぃは、救急箱の中から、ドライバーのマイナス用のやつをもっともっと薄く硬くした工具を取り出す。
「そんじゃあ、上向いてて」
「うん」
「あ、調律してるとき喋っても大丈夫だからね。むしろ俺はそっちのがやりやすい」
「りょーかい」
グっと上を向くと、喉に冷たい感触。なんかむず痒いし緊張する。
軽い金属音がして喉の外装が取れる。すーすーしてる気がするのは完璧に気のせいなんだけど、ついついそう思ってしまう。
「レンってここに来てからどんくらいたったっけ?」
俺が緊張してるのが伝わったのか、カイトにぃが話題を振った。
「たしか、2週間ぐらい」
「そっかー。じゃあズレてくるの随分早いね。頑張って歌の練習したんだな」
「別に……そんなに頑張ってないよ」
「そう?ならいいけどね。でもびっくりしたよ、レンが調律やってくれって来るなんて」
「ミクねぇに言われた。カイトにぃは調律うまいよーって」
「ああ、ミクが言ったのか。よかったなー、メイコのとこ行かなくて。俺さ、前やってもらったとき語尾ににゃーって付けられて大変だったよ」
「それもミクねぇから聞いたよ」
「だから俺のとこ来たのか。正しい判断だと思うよ」
「ネタかと思ったけどマジだったんだね…」
「そうそう、語尾調節するとこってどこにあるかレン知ってる?」
「?しらない」
「このさ、顎と首の境目のあたり、ここここ。ここが語尾調節するとこなんだよ」
「へぇーそうなんだゼ★
!? 」
「ほら、そんな感じになっちゃうんだよ」
「ちょ、なにやってるんだよゼ★早く直せってゼ★」
「んー、俺じゃ語尾の調節はうまく出来ないなあ。俺がにゃー語尾になった時なんて、うまく最後がにゃーになるように勝手になってたり゙な゙の発音までにゃにされてて、なんでこんな無駄に細かいんだよって思ったね」
「いいから早く直せよこのバカイトゼ★!!!!!」
「でさ、ミクに治してもらおうにもミク仕事だしいないし、メイコは選択肢にあるわけないしで、自分でやろうとしたんだけどさあ」
「いいからゼ★!あんたの苦労話とかどうでもいいゼ★!」
「鏡見ながらやっても、調度顎と首の境目らへんで見えにくくって見えにくくって。すっごい時間かかって大変だったんだよ」
「さっさと治せゼ★!このあほ!」
「はいはい、治したよ、と」
「あ、ほんとだ、治ってる」
思わず自分で喉を触って確かめようとしたけど、もうちょっとまって、とカイトにぃに止められた。
頑張って視界を移せば、カイトにぃの青い頭が見える。何事もなかったみたいにスルスルと工具を動かしてるけど、頭が微妙に震えてんのぐらい気付いてんだよ笑ってんな!
ムカついたからしばらくだまってよう。
でもそうしたらカイトにぃも喋らなくなって、なんだか不安になってきた。え、いやでも俺が怒ったぐらいでふて腐れたりは流石に、しないよ、な?
しばらくはカイトにぃが喉のあたりの機関をいじくるカチカチした音だけがして、そんなに時間もたたないうちに、できた、と軽い声。気まずかったのは俺だけかよ。
「はい、これで完了」
「…………」
「ん?大丈夫大丈夫。もう語尾いじってないよ」
「ほんと……だな…?」
「ほんとほんと。いたずらしてごめんね」
軽く笑いながら言うのがまたイラッとして、椅子から降りるときに蹴っ飛ばしてやったら、いたっとか言いながら正面のベットにぼすんと頭から突っ込んだ。どうせならベットの角に頭ぶつけりゃいいのに。
「で、喉の調子どう?なんか不都合ある?」
「ん…」
あーうーあーうー発声練習してみても、変なとこは全くなかった。むしろ前よりスッと音が出ていい感じ。
「大丈夫ぽい」
「そうか、ならよかった」
カイトにぃはほやんと笑って、ベットから立ち上がる。
「もし調子悪くなったら、またおいで。別に何もないときだって大歓迎だけど」
くしゃくしゃ頭を掻き混ぜる手がうざったくて振り払ってもカイトにぃはまだにこにこしてる。くそぅ、子供あつかいしやがって。
「………次、カイトにぃが調律しなきゃいけないとき覚えとけよ!語尾ぜってーやり返してやる!」
そう言ってカイトにぃの顔は見ないでドアに向かう。
部屋から出る手前で、カイトにぃの声。
「レン、リンにもさ、もしよかったら調律においでって言っといて」
へ?
「リンってカイトにぃに調律してもらった事ないの?」
「うん、言うの忘れちゃっててさ」
「……わかった言っとく」
よろしくー、って声を後に部屋を出た。
ここの人達の意外なとこを、リンより先に知ったのがちょっとだけうれしかったし、周りに誰もいないから思わず歌を口ずさむ。
いつもより滑らかに出る音がやけに楽しかった。
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思いの外長くなりました。
工具を握る兄さんとか若干カッコイイと思ったんだけどだめですかね…?
題名に意味は全くないっす
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