ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
Contents
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
アカイトvsテト
ちょっとカイトとリン
「私が軍服を着ているのは伊達ではないことを見せてやろう!」
「さすがに女の子は殴るのに気が引けっかな」
やる気満々といった風のテトに対し、アカイトは頭をがりがりと掻きながら呟く。
明らかに勝つ事前提のアカイトの様子に、テトはふぅ、と息をつき頭をふった。
「甘く考えていていいのか、アカイトさん。後悔してからでは遅いのだよ!」
「する前に終わらせりゃいいんだよそんなもん!こい!」
その返事を聞いてテトは真剣な顔になると、大きく息をすった。
大声でも出してこちらを怯ませるつもりなのだろうが、アカイトだって伊達に歌に関する機構をしているわけじゃない。音に対しては強いのだ。
テトの動作に構わず、息を吐き出すのに合わせて5メートルほどの距離を詰める。足でも引っ掛けてこかせばいいだろうと、アカイトは僅かに姿勢を低くした。
そしてテトの口から、少女らしい容姿に不釣り合いな轟音
と、頬を掠める熱風
「?!」
それがなにかを直感で判断するも信じられず、咄嗟にテトの脇を走り抜け、さらに距離をとった所で振り返る。
視線の先では、不敵な顔でテトが振り返ったところだった。その背後には、なにか焼けたような黒い跡。そう、焼けたように、だ。
つ、と冷や汗がアカイトの背中を伝う。
先程の直感を肯定するように、テトがけほ、と一つ咳をする。その時ちらりと現れたのはどうみても、赤々と輝く炎だった。
「ひ、火ィ吹くとか、ちょ、」
「私は言ったぞ?後悔してからでは、遅いのだと!!」
バサリ、と嫌な音がした。
音の源を見て、アカイトはいっその事声を上げて笑おうかと思った。実際には、頬を引き攣らせる事しかできなかったが。
テトの背からはみ出して見えるもの、それは黒々とした翼だった。
漫画などで悪魔が付けているような、あれだ。
二、三度羽ばたくと、小柄な体はたやすくその足を地から浮かべる。
そのままふらつく事もなく空中で静止すると、アカイトを見据え、右腕を天を指すように高々と持ち上げた。
その動作に、先程以上の嫌な予感がしてアカイトは慌てて止めにかかる。
「ちょ、待てテト!お前まさかあの技をやるつもりなんじゃねぇだろうな…」
「アカイトさんも中々鋭いな。そう、あの伝説の技だ」
「待て!あれは生身のやつにやるとなかなかエグい画になるんだぞ?!」
「君は実に馬鹿だなぁ!!戦いにおいてエグさなど関係ない!生きるか死ぬか、それだけが全てだ!!!」
「おい、いつのまにそんな血みどろバトルになってたんだよ!!」
「ギィガァァ…」
「ま、待て!」
指がぴたりとそろえられたテトの手が輝く。
その手を中心として空気が渦巻き始めたのを見て、アカイトはありえねぇ、と絶望的に呟いた。
炎ならまだしもあの技をくらえば完全粉砕ものである。マスターやカイトでも直せるかどうかわからない。
どうにかして止めなければ、と辺りを見回すがここはなにも置いていない空き部屋だ。投げるものすら無かった。
と、そこでアカイトは気付く。
「ドリrっ、アカイトさん!敵前逃亡か!!」
「そんなんくらって死にたかねぇんだよ!!」
逃げればいい。そう、逃げればいいのだ。別に拘束されていたわけではないのだから。
全力でドアへと走るアカイトは、とりあえずテトが先程の技を止めたらしい事を察して僅かに気を緩める。
そして案の定、その気の緩みによってアカイトは最後の一撃をくらったのだった。
ふわりとやわらかく天井付近まで浮いたテトが、バサリ、と力強く空気を打って恐ろしい早さで迫る。
悪寒がして振り返ったアカイトの視界いっぱいに、突撃してくるテト。
とっさに身を捻るがほんの僅かに間に合わず、空中で逆上がりをするようにして回転したテトの足がアカイトの背を蹴り上げた。
「っぐぁ!」
ドアにべちゃりと激突したアカイトは、そのままずるずると床に崩れる。それでもまだ立ち上がろうとあがいているのか、顔と腕が小さく上がる。
それを見て、テトは翼をぱたぱたさせながら誇らしげに言い放った。
「軍服を着るにたる強さだろう?」
「ぐ、軍服はべつに、かんけー…ねーよ……」
アカイトはそう言い残して、今度こそがくりと力尽きた。
「で、なんでこんな事したの?」
「…最初は遊びだったんだよ。暇つぶし」
「俺が直さなきゃいけないことになる暇つぶしするなよ…」
ぐちぐち文句を言いながらカイトは手の中の工具をテキパキと動かす。
調律用のものよりは無骨なそれを、しかし同じように軽やかに扱って不具合を起こした箇所を直していく。
飛び蹴り(?)を受けて、床にはいつくばったまま動けなくなったアカイトを見かねて、テトがカイトを工具と共に連れてきたのだ。
蹴りを放った本人であるテトは、アカイトさんはもっと鍛えたほうがいい、などと言い残して既にどこかに去っている。
ちなみにその際、一緒に訓練してみないか、とも誘われたが、アカイトは無理の一点張りだった。
「いや、ありゃ誰にも予想できねぇよ…だって火ぃ吹くんだぜ?!しかも飛ぶんだぞ?!!」
「なに言ってんだよ」
「くっそテメェ信じてねぇな!」
ダンダンと床を拳で叩きながらアカイトが訴えた。
それを横目でチラリと見て、知らなかったの?とカイトは背中の歪みきった部品を取り替えながら言う。
「テトってキメラなんだよ?」
「知ってるけど、まさか羽まで生えるとは思わないだろ普通!」
「いやでもさ、ほら。キメラだし」
「……」
黙り込んだアカイトをそのままに、カイトはまた作業を続ける。
アカイトは腑に落ちないようでしばらく不機嫌そうな顔をしていたが、背中で動く工具やらの小さな音を聞くうちに眠気に襲われたらしい。なんだこいつ、とカイトは小さく苦笑する。
やがて、カイトが修理を終えた背をぱしんと叩き、はいおしまい、と言って立ち上がった。
意識が浮上するのと共に、徐々に背中の感覚がはっきりとしてきて、足にも力がきちんと入る。
それを確認してからアカイトもどっこいしょと立ち上がり、腕を伸ばして伸びをした。ごきごきと間接がなっている。
「あー…もうこりごりだな」
「懲りたんなら、壊れないでよ?直すの俺なんだし」
「はいはい」
だらんと脱力してからまた顔を上げると、いつの間に来たのか、廊下の先から覗いているリンとアカイトの目が合った。
なんとなく、嫌な予感がする。
「アカにぃ」
「…なんだ?」
にひ、とリンが薄く笑って言った。
「ちっちゃくて可愛いテトに、一回蹴られただけで動けなくなっちゃったんだって?」
「な、に言ってんだ?べべべべ別にテトはキメラなんだから、そんなんありえないことじゃな」
「アカにぃって、俺強いからって言ってたけど、さ。実は、よわよわ?」
ひくり、とアカイトの口の端が笑うように痙攣した。
わなわなと震える腕は拳をつくっており、とばっちりを受けるような気がしたカイトはアカイトから一歩距離をおく。
「リィィィィイイイイン!!!!」
「あはは!大丈夫だよアカにぃ!レンに頼んどいたからみんなに伝わるよ!!メイコねぇにも帯人にぃにもハクねぇにも!!!」
「待てぇぇえぇええええええ!!」
にっこりとした笑顔を残して廊下の角に消えていくリン。
アカイトは物凄い勢いでそれを追いかけて行ったが、カイトがみたところ恐らくもう追い付かないだろう。
また壊れなきゃいいけど、とリンにではなくアカイトに対して一つ零すと、カイトは工具の片付けた。
ちなみにみなさんの強さは、
テト>ルコ>>メイコ>メイト>鏡音>帯人>>シロイト>ルカ>アカイト、カイト>リク>ミク>ネル、ニガイト>カイコ>>>>ハク
ぐらいのイメージ。あくまでも現在のイメージ!!
そしてカイト達も世間的には強い方なんだけども他が強すぎなだけです。
UTAU組はいろいろと別物だといい
PR