ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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カイトとアカイトとレン
で、なんだろう。ほのぼのなのか…?
とりあえずレンが乙女ちっくな感じになってしまった気がしたけどたぶんそうでもないはず……です………
仕事が終わって帰り道。
今日は珍しくリンが一緒じゃなくて、電車に乗ってる間が暇だった。
こういうときに話相手がいないのは辛いなー、とか思ってると目についたのは一つの広告。頭にドーナツ被ったライオンのやつだ。
そういえば昨日、テレビでこのドーナツ屋のCMやってて、カイトにぃが食べたいとか言ってたっけ。
広告には新商品だという、ものすごく甘そうなストロベリーチョコを、チョコをこれでもかってぐらい練り込んだチョコレートドーナツに塗ってその上からナッツをまぶしたドーナツ。
考えるだけで口の中が甘くなるような、俺はちょっと遠慮したいと思ったものでもあの甘党兄貴は食べたいらしい。
なんか、チョコアイス乗っけて食べたいとかなんとか。
こうして広告を見てしまったし、たしか降りる駅のすぐ近くに店があったから買ってくのもいいかもしれない。
あの甘そうなドーナツを買っていったらカイトにぃはどんな顔をするだろう。
考えようとしたら駅に着いてドアが開き、俺は慌てて飛び降りた。
駅から出るとスルリと風が吹いて、その寒さに思わず首を縮めた。
こんな寒いのにカイトにぃはアイス食べんのか?でもきっとカイトにぃだから食べるんだろうなあ。
寒くて寒くて、早歩きでドーナツ屋に向かう。
俺が入ろうとしたらちょうど出てくる人がいて、俺は片側に寄って何の気無しにその人を見たら、
「アカにぃ?」
「 ?! レ、レン?!!!」
マスコットの変なライオンがプリントされた細長い箱を持って出て来たのは、アカにぃだった。
いつもと違う黒いジャケットを着てるけど、こんなに目立つ髪のやつはそうそういない。
でもなんで、こんなとこに?
「アカにぃなんでここいんの?甘いもの嫌いじゃなかったっけ?」
「い、いや、まぁ、気にすんなよレン!……あ、そうそう、土産だよ手土産!」
「ふぅん…アカにぃが?」
アカにぃがいきなり土産を持ってくるなんてありえない。し、焦りすぎだろこの人。こんな焦ってんの初めて見たかも。
しどろもどろになりながら、レンも食いたくなったのか?俺たくさん買ったからさっさと帰ろうぜ!なんて言って、家への道をさっさと歩き始める。
そういえば昨日テレビ見てる時にこの人いたなあ、って気がついたらなんかイラッとした。なんだ?
その後もなんかイライラして、アカにぃと帰ってる間俺は一言も喋らなかった。
アカにぃは最初の方はちょっと俺のこと気にしてたけど、結局はスルーだ。まあ、こういう人だし。
二人して無言で歩いて、エレベーターに乗って、家に着いたとこでやっとただいま、と口を開いた。
リビングの方からテレビの音と、おかえりーなんて間延びしたカイトにぃの声。
カイトにぃはやっぱりこたつに入ってテレビを見ながらぼけーっとしてたみたいで、でもアカにぃがドーナツ屋の箱を軽く持ち上げたのを見つけるとたちまち目が輝いた。
「アカイト!も、もしかしてドーナツ買ってきたりしたの?!」
「なんとなく買ってきたんだよ。どっかのアイス馬鹿が食うかなーと思って」
「俺…アイスがついてるなら馬鹿って言われてもいいかもしれない」
「おい?!いいのかそれで!!」
「いいような気がしてきた…まあ、ありがとう、アカイト」
カイトにぃは箱の中身にテンションが上がったみたいで、ニコっと笑って鼻歌をうたいながらキッチンにアイスを取りに行った。
それを見たらなんかわかんないけど俺のイライラはさらに増して。
「おいレン、お前もなんか選べよ」
「…………いらない」
よくわからないイライラを込めて返事をしたら、アカにぃもイラッとしたらしい。
なにか言おうとしたみたいだけど、調度その時にカイトにぃがアイスを持って、すんごい笑顔で来たもんだからアカにぃもさすがに何も言わなかった。
でも、やっぱり俺のイライラはどんどん増えていって、もう部屋に戻ろうと思ったところでカイトにぃが声をかけてきた。
「レン、どうしたの?」
「……べつに、なんでもない」
「アカイトなんかやった?」
「ハァ?俺なんもやってねーし」
「そっか。 レン、ドーナツどれ食べる?」
「いいよ俺、いらない。部屋戻る」
こたつから抜け出して立ち上がると、まって、とカイトにぃの声。
「ほらレン、せっかくだから一口」
座ったまま座ったまま伸ばされた手には、上にチョコアイスを乗っけた一口サイズにちぎったCMのドーナツ。
いらないと言おうとしたけど、おいしいよ、と笑いかけられて思わず口を開ける。
はい、と放り込まれたドーナツはやっぱり甘くて、アイスは冷たくて。
おいしいでしょ?と笑顔で言われたらさ、………うん、イライラなんてどっかにふあーって消えていっちゃうよ
ね、と満足気に言ったカイトにぃは、またドーナツをちぎってアイスを乗っけて、おいしそうにぱくり。
結局俺は何も言えなくて、そのままリビングを出た。
冷えた廊下を歩く途中、アカにぃがまだリビングにいることを思い出したけど今度はイラつかなかった。
なんかわかんないけど、カイトにぃが本当に嬉しそうだから、カイトにぃが笑ってればそれでいいかも、なんて気がした。
でも、今度は俺がドーナツ買ってこよう。
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どうなの?!どうなんだよこれ!!
自分自身にすごく問いたい!!
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