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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

誤字等気になることがあり
ましたら是非ポチっと。只今、
御礼文でヤンデレだらけ




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フリーダムにこねたをぱらぱら

とりあえず自重しないでいってみますね





「かーいーとー、どこー?」

たかたかと軽い足音が廊下を駆け回る。
ふわりと茶色のやわらかそうなショートの髪と、真っ赤なワンピースがはためかせながら目的の人物を捜していると、奥の部屋の方から僅かに声がした。

「かいと?」

部屋を覗くと、窓際の椅子に座る人。
青い髪の青年が、やや眠そうにそこにいた。

「いま、じゅーでんちゅー?」
「うん、けどあとちょっとで終わるよ」
「あのねー、めーちゃんね、おそとでね、かわいいのみつけたの」

真っ赤なワンピースのポケットから、小さな掌に乗って出て来たのは白い小さな花だった。
ポケットにいれていたのでよれてしまっているが、少女は気にした風もなくそれを青年に差し出す。

「ね?かわいいでしょ!」
「ほんとだ。よく見付けたね」

えらいえらいと青年は少女の頭を撫でると、少女も小犬のようにそれを受け入れた。

「これ、かいとにあげるね」
「いいの?頑張って見付けたみたいなのに」
「いいの」

青年の膝の上によじ登り、海色の髪に白い花を飾る。
それを見て満足したのか、えへへと笑って少女はそのまま青年の膝の上に座った。
彼もこらこら、と多少窘めるような事も言ったがそれも本気ではないようで、穏やかな空気が部屋を満たしている。

「充電終わったら、二人でホットケーキ作ろうか」
「ほっとけーき!わーい!めーちゃんね、いちごのがいい!」
「じゃあ、昨日作ったイチゴジャムはさもうか」
「うん!いちごの!」

いちごーいちごーおーいーしーと嬉しそうに歌う少女に、青年もやわらかな笑みを零す。
少女の歌に充電完了を知らせる電子音が混ざるのは、もう間もなく。






ろり、というか、まあろりめいこちゃんと多分使用人ロボ的なカイト
姉さんがちびっこになったのは言うまでもなくろくさんのせい


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石造りの暗い道を音もなく駆ける影。
素早く、だが周囲への警戒を怠らない影は、ずいぶんと走った後一本の小道へ滑り込んだ。
そのまま闇の濃い方へと進んだ所、今にも崩れ落ちそうな家の中に入っていった。
ボロボロの木製の扉を閉め、そこでようやく影――二人の子供は息をつく。

「ぷはー」
「今回も余裕だったな」
「結構いいのばっかあったよね?いくらになるかな」
「さぁ。結局脳みそ腐った豚の持ち物だし」

二人は双子のようで、そっくりな顔立ちをしていた。
金色の髪を後ろで束ねた少年が、抱えていた革袋の中身を硬貨や空き瓶が転がるテーブルの上に広げる。
がちゃりと耳障りな金属音をたてて転がり落ちてくるのは、金や銀の指輪に腕輪。
細やかな装飾が施してあったり、ゴロリとした赤や緑の宝石がついていたりと、そのどれもが己の価値の高さを主張しているようだった。

「あ、そうそう、盗ってる時に可愛いの見つけたの」
「へぇ、珍しい。なに?」
「二個で対になってる指輪ー。一緒にしようよ」
「えぇ、俺指輪好きくないんだけど。邪魔くさい」
「んでも、気に入ると思うよ?」

そう言って少女はその輝きを無造作にまぜ返し、大量のそれらの中から一対の指輪を取り出した。
金の細い指輪に花を連想させる繊細な細工が為されおり、その花の中央には、一方は緑、もう一方には橙の小さな宝石が宛がわれている。
その宝石も小さいながらも柔らかい光を内包しており、またその小ささが繊細な装飾とうまく調和してそれぞれの美しさを高めあっていた。

「ね?これいいでしょ。売らないどこうよ」

はい、と緑の宝石の方を少年に渡すと少女は早速それを自分の指に付け、ひび割れた硝子窓から差し込む月光にかざした。
小さくて子供っぽい手をひそかに気にしていた少女は、美しく指輪をした己の手をみて満足気に頷く。
少年は受け取ったそれを掌で転がし、付けるか否か迷っていたが結局は指に嵌めた。
ぐーぱーぐーぱーと嵌めた手を動かし、しばし手を見つめてから呟く。

「こ、こんぐらいなら、あんま気にならないから別に付けてもいい」
「気に入ったみたいでよかったよ!」
「ちょ、違くて!俺は別に気に入ったわけじゃ!」
「はいはいーわかったわかったー。でも付けるんだよね?」
「………………うん」

少年の返事に少女は堪らず吹き出す。

「わ、笑うなよ!!!」
「んーふふー?まあいいじゃん!そんなに気に入ったなら明日、今日の分売りに行ったときに自慢すればいいんじゃない」
「だ、だれがあんなやつに!しかも俺は自慢なんてしな」
「さーあ、ツンデレ君はほっといて私はもう寝るね。今日もお疲れ様でしたー」
「誰がツンデレだ!」

騒がしい少年の声にまたクスクスと少女は笑い、宣言通りに布団に入っていく。
それに対して少年はまだぐずっていたが、やがて一人で苛立っていることに虚しくなったのか、所在なさ気にテーブルの上に出したままだった今回の戦利品達をまた革袋にしまった。
そこで少年はようやく眠気を思い出し、少女の隣の布団へ潜り込む。
先程までの騒がしさを連れて、夜は静かに明けていった。

少女と少年がその夜とあるビルの地下に訪れた時も、美しい指輪は二人の指に嵌まったままだったという。






ドロボーな鏡音
ちなみにとあるビルの地下には翡翠髪か紅色髪か青頭か赤頭がいるんだと思います。
レンが姉さんをあいつ呼ばわりするのはたとえ異世界でもありえないと思うんだ


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ガタガタ、なんて甘いものではなくバッタンバッタンと中身を激しく揺さ振りながらバスは進む。
山奥の、道とも言えない道をどうかんがえても無理矢理進んでいるとしか思えないバスの中。
ただ一人の乗客である翡翠色の髪をした少女、ミクは舌を噛まないようにするのに必死だった。
バスの中で知り合った親切そうなおばさんが、降りるときに心配していたわけをミクは身を持って体験していた。
がたんどたんばったんどんと、バスのと一緒に視界も揺れる。
それなのに、紫色の髪をした運転手は平然と運転しているのだから、ミクは揺れているのは自分の頭だけなのかと不安になりはじめた。
必死に前の座席にしがみついていると、ボソりと前の方から声が聞こえ、ミクはどうにかして運転席の方を見る。

「…君は、えがお村に行くの?」
「は、はぃい、おんがく、の、せんせいがいる、ので」

バスの揺れに振り回されておかしな話し方になりながらも、ミクは必死に説明する。とくに必死になる必要もないが、必死に椅子に張り付いてるついでについつい必死になっていまっているのだ。
そんな彼女の頑張りを気にもせず、運転手は、ふぅん、となにか暗いものを含ませた返事を一つ。
そこで会話が途切れ、またガタバタドッカンと騒がしい音だけがバスの中に篭る。
心なしかさらに荒くなった運転のせいで、ミクの意識をバスの揺れがギリギリまで削ったところでキィッと高い音を出してバスが急停止した。
突然の停車にミクはおでこを前の座席にぶつけて、若干涙目になる。

「えがお村に到着したよ、お客さん」
「へっ?!」

真横からあの運転手の声がして、ミクはパッと顔を上げる。そこでミクは違和感を覚えた。
見ると、急停止の勢いで運転手の黒い帽子が後ろまで飛んでしまって、それを取りにきたらしい。
帽子を自分の頭のうえにぽん、とのせて、いつまでたっても動かないミクを訝しな目で運転手は見る。

「お客さん、降りないの?」

帽子と同じ色の制服からのぞく、なぜか包帯でぐるぐるまきの手でバスの出入口を指差す。

「あ、はい!降ります!」

隣の席でシートベルトでぐるぐる巻きにしていた大きなバックを持って、慌てて立ちあがる。
足がふらついたがどうにかバスから降りると、そこは村、というか森だった。
へ?と振り返って運転手に聞こうとしたが、カシャンと軽い音をたててドアは閉まり、ちらり、と運転手の紫の瞳がミクを一瞥してバタンドタンと走り去ってしまった。

そこは一応バス停らしく、しかもきちんと えがお村 と掠れかけた文字で書いてある。
しかし目の前、というかミクは森の真っ只中にいる。
はぁ、とため息をつき、先程の違和感をまた頭の中で反復する。

「あれは、見間違えかなぁ…」

ぐらぐらする視界。そこに映る運転手。
包帯だらけの手が帽子を掴んで持ち上げる。
その終着地点でミクは見たのだ。

「でも、耳だったよね…」

彼の髪と同じ色をした、三角形のもふもふ。
あれは、猫の耳じゃなかったか…?
しかし普通あるわけないのだから、自分の頭がおかしいのか…
ミクは頭を振っておかしな考えを弾き飛ばす。

「き、気のせいだよね!うん、とりあえず前に進んでみよう」

バックを抱えて森の木々の間を進んでいくと、そう歩かないうちに赤い屋根の大きめな家を見つけた。
それにホッとしながら家の前まで来ると、 えがお村役場 と看板がかかっている。
とりあえず道を聞こうとミクが木製の重たいドアを開くと、以外と奥行きがある空間にカウンターがあった。
そこに、受け付けらしい見事な銀髪の女性がドアと向き合う形で座っている。
女性はミクと目が合うとビクリと肩を震わせ、ふらふらと真っ赤な光彩の目を泳がせた。
それでも彼女の仕事をきちんと真っ当しようと、何度か口をぱくぱくとしてからようやく言葉を発する。

「よ、ようこそ、えがお、むらへ…そこにおかけになってください……えっと、もしかして、ミクさん、ですか?」
「え?」

カウンターに合わせて高めの椅子に座ろうとした時、唐突に自分の名前を呼ばれたことにミクは驚いたのだが、受け付けの女性は違うように受け取ったようだ。

「あ、ああ、あ、すみません人違いですよね!ごめんなさい本当ごめんなさい間違えてしまってすみませんだってマスターさんが今日教え子が来るからって、その子はミクさんだよって言ってたので……ああすみませんマスターさんのせいにしたわけじゃないんですごめんなさいもうなにもかもが私が悪いんですすみませんすみま」
「あの!私、ミクです!合ってますよ!」

謝罪の嵐がそこでようやくピタリと止まり、女性が恥ずかしさから真っ赤になりながらも、それをごまかそうとコホンと咳をする。

「ようこそ、ミクさん、えがお村へ。今日からマスターさんのお家に住むんですよね?」
「はい、そうです」
「それでは、こちらの書類にご記入お願いします」

ガサガサとカウンターの下から女性が書類を出す。
そこでミクは固まった。
なにも書類がおかしなわけではない。
書類を出した女性のその腕。
その腕がどうみても鳥の翼と同じだった。

「?!」
「 ? どうかしましたか?」

不思議そうに尋ねてくる女性に、ミクはまだバスの影響がでてるんだと必死に自分に言い聞かせながら、なんでもないです、とやっとのことで呟いた。
ペンで書類に書き込んでいると、その間暇なのだろう女性がミクに話し掛ける。

「えっと、ミクさんはライオンは平気な方ですか?」
「……へ?」
「あ、いえ、見たところ私みたいな翼もないので…あ、それともうまく耳を隠していらっしゃるんですか?」
「………………え?」

話に全くついていけないミクは頭が真っ白になっていくのを感じた。
この女性の言い方だと、ミクを、いや自分をも動物として扱っている?
むしろ今彼女は普通に自分に翼があることを肯定していたが、ミクはそれを聞かなかったことにしている。
しかしそんなミクを置いて、非現実的な現実はのこのこと勝手に歩いていくのだ。

「ミクさんは、なんのどうぶつなんでしょうか?」

その言葉をミクが理解する前に、バタンと、後ろでドアが開く。

「よぉハク、仕事してっかー?」
「あ、アカイトさん」

音につられて振り向いた先、ミクの視界に映ったのは真っ赤な髪の青年。
の頭についた獣の耳と、彼の後ろでふらりふらりと揺れるしっぽ。

それを残して、ミクの思考はブラックアウトした。





ミクと亜種さんたち
運転手は帯人で受付はハクで住民はアカイト
どう森をやったんです出来心だったんです・・・・・

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