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ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
 

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かっこいい兄さんリベンジ!!

ちなみに前回のかっこいい兄さんチャレンジは 混沌の果てに です。かっこいい兄さんを目指した結果があれだよ!





ゆらゆらと意識が情報の水底から浮上する。
マスターが私の電源を入れたみたい。辺りがだんだん明るくなって、耳にも音が忍び込んできた。
視界がいつもと同じになったころ、耳が微かな音色を拾う。遠くから聞こえる音。色々な物を突き抜けて聞こえるのじゃなくて、いろんな物に染み込んで、ゆっくりと気付かないうちに聞こえてきていたような気にさせる音。
どこから聞こえてくるんだろう?
音源を検索してみると、見慣れないフォルダが一つ。気になって覗いてみると、中は思ったより古びてて、だけど綺麗に整頓されてる。その真ん中にグランドピアノが一台置いてあって、そこで誰かが弾いているらしい。
誰だろうと思ってフォルダの中にはいってみると、グランドピアノの黒に青い色。お兄ちゃんだ。
お兄ちゃんがピアノ?って思ったけど、そういえば手先が器用だった。みんなのメンテナンスもお兄ちゃんがやってるし、そんな不思議な事でもないかもしれない。
足音が立たないようにこっそり歩いて、ピアノからちょっと離れた壁にもたれ掛かる。
ピアノの綺麗な白い鍵盤の上で、お兄ちゃんの鍵盤に負けないくらい綺麗な指が跳ねる。
前にメンテナンスをしてもらってるとき、お兄ちゃんの指は綺麗だね、って言ったら、ボーカロイドはそういう風にできてるんだよ、って言われた。
そう言われて私の指も見てみたけど、やっぱりお兄ちゃんの指の方が綺麗だった。
お兄ちゃんは私達の中で1番お人形みたいで、1番人みたいだと思う。だってお姉ちゃんはマスターの言ったことは守るし私は歌以外はできないしリンはレンだしレンはリンなのに、お兄ちゃんはマスターに逆らうし歌以外もできるしお兄ちゃんのまま。
私はこんなに、歌を歌うみたいに楽器で歌えない。少しだけ、狡いなと思う。それよりももっとすごいなと思う。
そんな事を考えていたら、いつのまにか歌を口ずさんでた。お兄ちゃんがやっと私がいることに気付いたみたいで驚いたみたいだったけど、そのまま歌って、って言うみたいに目を細めてからまたきちんとピアノに向き合う。
意味のない言葉で、のんびりした気持ちを歌う。お兄ちゃんの音にのせられて私の音も染み渡って、フォルダを埋め尽くしていく。
フォルダから溢れた音がマスターにも聞こえたんだと思う。マスターが私を呼んだ。
ピアノが静かに止まって、私の歌も消えてしまった。残念だけどマスターが呼んでるからしょうがない。
立ち上がるとお兄ちゃんがこっちを見ていた。

「頑張っていっておいで」

頷いて、フォルダを出る。
ピアノの音はまた、フォルダの隙間から微かに染み渡っていた。














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かっこ……いい…………のか?

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