ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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こねたをば
ヤンデレ
ほのぼの
学パロ
です
「あいしてる、あいしてるんだ」
生暖かい水がさっきからぼたぼたと垂れてきている。帯人の瞳は黒みたいな紫色なのに、そこから出てくる水は透明なんだ、と酸素が不足する頭で考えた。すごくどうでもいいことだ。
あいしている、と呟いているように あいしている のなら、この喉を潰そうとしている両手を放してほしい。でも帯人が あいしてる のは俺じゃなくてマスターだから、本当に あいして いても俺の首を絞めるのは止めないのだろう。
息苦しさに俺も視界が滲み始めるけど所詮、日常茶飯事。むしろ後で修理する必要がないからいつもより楽かもしれない。
あいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいして
あいしてる を百回言ったら恋が成就する、なんておまじないがありそうだ。たとえあっても、帯人なら呪いに変えてしまうんだろうけど。
思考の片隅でシステムを強制終了するまでのカウントダウンが始まった。あと57。
そういえば、俺の意識が落ちた後は一体誰が帯人の相手をしてるんだろう。誰も何も言わないから、勝手におとなしくなってるのかもしれない。
もしそうだったら俺が強制終了する前におとなしくなってくれればいいのに。
一応抵抗してみてたけど、疲れた。力の抜けた腕が床に落ちて、さっき帯人にひっくり返されてドロドロになってたアイスを跳ね飛ばす。
あぁ、まだ全部食べてなかったのに、もったいない。
カウントダウンは残り8。
また起動した時に、せめてアイスが冷蔵庫に入ってたらいい。
帯人とカイト
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「はい」
「ん、ありがとう」
パキリと割ったうちの片方をカイトに渡して、カイコも自分の分を食べ始める。
二人はわざわざ窓の方に向けたソファーに座り、開け放った窓から入る風をうけながらアイスを食べていた。
少し強い風が、二人の青い髪をさらさらと流す。
微妙に違う色合いの青が風に遊ばれ、二人が食べるアイスの水色とも合間って視覚的にはずいぶんと涼やかだ。
これといった会話もなく、リビングにはアイスを食べる僅かな音と、蝉の鳴き声や時折道を駆けていく子供達の声がするばかり。
アイスをゆっくりと半分ほど食べたところで、カイコがほぅ、と息を吐く。
「しあわせ…」
「ほんと、やっぱアイスはいいよね…」
カイトもそう呟いて、溶け始めているアイスをかじる。
垂らしたり落としたりしないように慎重にアイスを食べて、カイトはソファーから立ち上がる。
同じタイミングで食べ終えたカイコの棒も受け取ってゴミ箱に捨てると、そのままキッチンへ行き冷凍庫を開けた。
「カイコー、あとこれしかない」
「それなら、食べ終わったらじゃんけんですね」
がさがさと冷凍庫を漁りながらカイトが言う。
冷凍庫の中には、先程二人が食べていたアイスと同じものが一袋。
他には冷凍食品や冷凍ミカンや冷凍ネギやらがあるが、その辺りを食べてしまえばロードローラーの餌食になることは確実だ。
カイトはこれ以上探すのを諦めて、冷凍庫からアイスを取り出した。
アイスの袋を破って捨てて、ソファーに戻る。
「この前は勝った方が買いに行ったから、今回は負けた方でいい?」
「前の前にそれもやったから、今回はあいこの方が行くのはどうでしょう?」
「それいい、ね……? あぁ、あいこじゃ二人だよ」
「あ…、なら、二人で行きましょう」
二つに割ったアイスを受け取りながらカイコがそうこたえる。
それもいいねと言って、カイトもアイスにかじりついた。
カイコとカイト
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パシン、と手を叩く音。
「か?」
「か。」
「仕留めた?」
「…………まだ次があるっ!」
「頑張れー」
夏の課題を進める手を止めることなく、レンは声だけ投げかける。
リンは課題をやり始めて30分しないうちに、飽きたといってベットで漫画を読み始めていた。
再びパシンと鳴って、一拍の間をおいてパンパンパパパと蚊を狙っているのか遊んでいるのかあやしい音。
これは流石にレンも気になったのか、めんどくさそうにレンが振り返る。
「なにやってんの」
「威嚇したら逃げてくかなって」
「つまり、仕留めるのは諦めた?」
「なにをっ、蚊だって精一杯生きてるんだよ。平穏に事を済ませた方がいいじゃん!」
「さっきまで殺そうとしてたくせに」
「さっきと今は違うんですよレン君。そんな事言ってると蚊に呪われるよ?」
「んなわけないない」
はぁ、とため息をついて伸びを一つ。
そこでレンは自分の首筋が痒い事に気付く。
はっとして首を押さえるレンを見て、リンはにやりと笑った。
「ほら、呪われたー」
「呪いなわけねぇだろ!」
「そうかなー?でも私は刺されてないみたいだし」
鼻歌混じりにベッドから下りると、リンは手招きをしてレンを呼ぶ。
「カイトにぃたちんとこ行こう」
「なんで?」
「ムヒがですね、アカにぃにこの前貸したまま返ってきてないのですよ」
「まじかー。じゃあ仕返しにアカにぃの瞼にムヒ塗ろうぜムヒ」
「いいねーそれ」
レンは椅子から立ち上がって、リンと共に部屋を出た。
数分後にアカイトの絶叫が寮内に響き渡ったのは言うまでもない。
学パロ鏡音
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