ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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兄さんが酷い目に合うのはなんだかんだで愛故なんですよ!
こんな弁解から始めなきゃいけないかんじのお話。
カイトとヤンデレン
カイトにぃがフォルダの中に引きこもった。またアカにぃと喧嘩したらしい。
いい年して喧嘩のあと部屋に引きこもるなよと、溜息一つ。
毎回引きこもったカイトにぃを引っ張り出すのが俺の役目になってる、けど、俺は結構気に入ってたりする。
「カイトにぃ、あけて?」
中から反応がないのは知ってるけど一応は声をかける。案の定カイトにぃは無言だ。
いつもはフォルダの外でカイトにぃをのんびり待つんだけど、今回は違うやり方をしてみようかな。
フォルダの入口に手を伸ばしてパスワード解除。
怒ったり泣いてたり、気が動転してるカイトにぃが設定するパスワードは決まって同じで、かわいいなぁなんて思う。
隙間を開けて覗き込むと、カイトにぃは膝を抱えてうずくまってる。泣いてる、のかな。
フォルダの中に入って、またパスワードをかけ直してからカイトにぃに近づく。
あと二、三歩ってところでカイトにぃが俺に気付いたみたいで、顔を膝に埋めたままビクリと体全体が反応した。
「……レン?」
若干鼻声。泣いてるんだ。
「カイトにぃ、大丈夫?」
「だ、大丈夫。ありがとう。でも、レンは気にしなくても、いいよ」
声をかければ、そんな反応。
気にしてほしくないからパスワードまでかけて引きこもったんだろうけど、カイトにぃが泣いていて、気にしないわけがない。
「ねぇ、カイトにぃ。俺がなんとかするから、泣かないで」
「へ…?え、ちょっと、レン?」
カイトにぃとの距離を縮めて、しゃがんでいたその頭に後ろから抱き着く。やわらかい匂い。
戸惑ったカイトにぃがちょっと暴れたけど、はなすわけにはいかない。
「カイトにぃを泣かせるアカにぃなんて、いなくなっちゃえばいいんだよ」
「レン…?」
「でもアカにぃがいなくなっても、カイトにぃはきっと泣くよね。カイトにぃは優しいから」
「どうし、たんだ?」
「でもさ、俺、気付いたんだよ」
カイトにぃの頭を抱える腕に力を込める。
指先からカイトにぃの頭皮をすりぬけ、メモリにアクセス。
白が基調のシンプルなその場所は、色々な人達との色々な思い出がアルバムみたいな形で残ってて、カイトにぃらしいなぁと思う。
アルバムを開いて、そのなかの記憶の一つに指の感覚を沿えた。
頭の中の違和感のせいで気持ち悪かったりするのか、カイトにぃは時々ビクリと跳ねるけどちょっと我慢してもらおう。
「レ、ン、いた、や、っい、たい」
「大丈夫だよカイトにぃ。すぐ終わるから」
写真みたいに残った記憶。カイトにぃと、アカにぃの記憶。
こんなの、
「会ったことがなければ、カイトにぃは泣かないよね」
カイトにぃに馴染んだそれに、爪をたてた。
「っぐ、ああああああ、あああああああああああああああああああああああ!!!!」
うまく剥がれなくて、ベリベリ汚い音をたてて記憶を削ぐ。
痛いのか気持ち悪いのか、顔が見えないからわかんないけどカイトにぃがバタバタ暴れる。音が溢れる。
でも、これが終われば大丈夫だから、カイトにぃは笑えるから、ね?
シールみたいにこびりついた端っこの方も、爪でガリガリ引っ掻いて、アカにぃの記憶をカイトにぃから全部消し終わる。
メモリにアクセスしたままカイトにぃの顔をこっちに向かせた。
さっきまでの暴れようはどこかにいて、焦点がズレた瞳は宙を映すだけで何も見てない。
「カイトにぃ?」
呼べば、声に反応したのか瞳が俺を映す。
ふわふわしていた視線がピキリと固まって、カイトにぃに発生した感情がアクセスしっぱなしの指先に触れる。
穏やかだったそこに付いた色は、膨大な量の恐怖と、それと同じぐらい大きな悲しみ。
そしてひとかけらの、殺意。
さ つ、い ?
え?カイトにぃが、俺に?なんで?なんでなんでなんでなんで?怒ったのかな?カイトにぃにちゃんと言っておかなかったのがだめだった?痛いのが嫌だった?いやだ、いやだいやだいやだ!カイトにぃが俺をころすの?ころしたいの?俺は、きらわれちゃったの?
「やだよ、やだ、いやだ、嫌われるのはやだ捨てられるのはやだ消されるのはやだ棄てられるのはやだ、カイトにぃと一緒にいれないのはやだ!」
さっきのはもう恐怖に呑まれて消えたけど、でも、たしかに、カイトにぃの中にあった。きらい、が、あった。
消さなきゃ
カイトにぃの中のきらいを消さなきゃ。そうだよ、消せばいいんだ!さっきのアカにぃのデータみたいに、さっきのカイトにぃを消せばいい!
指先の感覚を伸ばして、適当に触れた記憶を毟るいらない消えてくださいあれこれじゃないカイトにぃが何かを叫ぶじゃあこれかなちがうこれでもないああああああと大きな声でやっぱりこっちかきえろ泣き叫ぶ様にちがったまただもうかんかくがあるばしょにあるのをぜんぶはいでちぎって痛いと苦しそうにくだいてさいてしまおうがたがたと体が震えているさよならごめんねありがとうもうばいばいあれも泣いているこれもそれも歌っているカイトにぃいがいはいらないんだカイトにぃにはおれいがいいらないよね高い高い声でだからみくねぇもめいこねぇもりんも俺の耳を貫くりくもたいとにぃもかいこねぇもみんな綺麗な歌みんないらないきえちゃえおれいがいみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんないなく、なった。
シンプルな部屋には今、俺だけ。
カイトにぃのメモリとの接続を切っていつの間にか食い込んでいた指を剥がす。
ぼぉっとしていたカイトにぃは、ゆらゆらした瞳で俺を見つけた。
またあの、怖い怖い感情が表れるんじゃないかと、びくびくしながらカイトにぃの反応を待った。
「レン」
にこりと、冷たさもかつての暖かさもない微笑み。
「カ、イトにぃ、怒って、ない?」
す、と手がのびてきて、叩かれるんじゃないかと思って後ずさりそうになる。爪がさっきので割っちゃったのか、痛そうになってる。
「レン」
俺の予想とは違ってカイトにぃの手は、俺の頭をやわらかく撫でた。
いつもより手は熱いけど、それでもいつもしてくれること。ゆるして、くれたのかな。
「あのさ、カイトにぃ。これからずっと、俺と一緒にいてくれる?」
わがままなお願いをしたのはわかってる。でも、もう嫌われたくないから、今言わなきゃいけない気がした。
そんな事を言ったのに、カイトにぃは優しく俺の頭をなでてくれて。
俺はうれしくなって、思いっきりカイトにぃに抱き着いた。
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リクありがとうございました!
遅刻したくせによくわからなくて読みにくくて本当にすいません!
でも気に入っていただければ幸いです
ヤンデレは怒らせるのも怖いけど怒るのもだめだと思います
あ、あと壊れた兄さんはきっとかwry
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