ヤンデレからほのぼのまで 現在沈没中
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5000回転記念のリクエストその1
リクエスト内容:女子でかくれんぼ、もしくは男子で鬼ごっこ的なもの
ということなのでボカロ達が缶ケリをしております
とりあえず使われてる缶ケリのルールはこんな感じで
・缶の周りに円を書いておき、鬼はほかの人を見つけるまでその中に入ってはいけない
・鬼じゃない人は円の中に入ってもいい
・鬼が缶を踏んだ状態で名前を言われたら人は捕まる
・あてずっぽうはマナー違反
・鬼が全員捕まえるか、誰かが缶を蹴ったら終了
・一番最初に捕まった人が次の鬼
それではどうぞ
適度な間隔で立ち並ぶ木々の間に、レンは視界を走らせる。
降り積もったままの落ち葉は近付く者の足音を教えてくれるが、それに頼りしすぎたせいであっけなくおしまいになった例を彼は知っていた。
正面に背後、さらに頭上。いや、下手をすれば土の中も?
ありえないと思いながらもレンはやりかねない彼等の事を思い浮かべ、張り詰めた集中が途切れそうになる。
じり、じりと緩やかに包囲を狭くされている感覚。それは果たしてレンの考えすぎなのか。
無音の圧力に耐え切れず、レンは罠を仕掛ける事を選択する。
ゆっくりと歩を進め、それ から適度な距離をとり、あえて視界から外す。
わざとらしくきょろきょろとしていると、背後、それ の向こうで草の揺れる音。
すかさず反応し踵を返し、全力の脚力をもってして それ の元に舞い戻る。
視界の端に映るその色を確認し、レンが、叫んだ。
「カイトにぃ見っけ缶踏んだ!!」
「あぁー!駄目だった!!いけると思ったんだけどな…」
名前を呼ばれたカイトは、缶の周りを囲んだ半径2mほどの円に到達したところで脱力した。
缶に片足を乗せていたレンが、自慢げに言う。
「こんな罠に引っ掛かるなんて、さすがカイトにぃ」
「わ、罠!?だからあんな戻ってくるの早かったんだ…」
「とうぜんでしょ?でも釣れたのはカイトにぃだけか…ルコとかも来るかと思ってたのに」
レンも缶から離れ円の外へと出ると、再び慎重に辺りを探り始める。
はぁ、と溜息をついてカイトは近くにあった木にもたれ掛かった。草むらに隠れていたせいで髪にくっついた葉っぱを払い落とす。
もう捕まってしまい暇になったので鬼を頑張る弟に声をかけようとするが、彼の弟はまさに鬼のような雰囲気を醸しだして背中のみでそれを拒絶する。
ただの缶ケリなのになぁ、と真剣な様子のレンを見てカイトはクスリと笑った。
それにイライラとした表情でレンは振り返る。
「……なに」
「いや、かわいいなぁって」
「はぁ?なに言ってんのこのばかにぃってぁあ!ハクねぇみっけた缶踏んだ!!」
話をしている隙をついたつもりだったのだろうか。しかしぽてぽてと走る速度ではバレバレだ。
三本ほど向こうの木のあたりで長い銀髪をゆらし、ハクがよろよろと歩いてくる。
さく、さくとその足取りと同じく揺れる落ち葉の音に、もう一対の音が混じるのをレンは聞き逃さなかった。
「帯人にぃみっけ缶ふんだ!」
特に隠れるわけでもなくただ歩く帯人に、カイトはただ飽きただけだろうと当たりをつける。そもそもなぜ彼が外遊びに参加しているのかがわからなかった。
まぁアカイトにでも無理矢理連れて来られたのかな、と思考をまとめたところで、カイトは缶を挟んで二つほど離れた木からぱさりと真っ赤なマフラーが落ちたのを目撃する。
マフラーは風に煽られレンの見えない場所へと飛んでいったが、カイトは思わず吹き出した。
唐突に笑い始めたカイトを他の三人が訝しげに見つめ、辺りを探ったレンがその理由を発見した。木の枝に。
爆笑するカイトを尻目に、レンは冷めた目で見つめ、宣言する。
「アカにぃみっけ。缶踏んだ。ねぇ、アカにぃには無理だと思う」
「っははははは!アカイト、ばか?!!!ばかでしょ!!」
アカイトは木の枝の高い位置につかまり隠れていた。さっき頭上を確認していたレンが気付かなかったので、おそらくたった今近くまで移って来たのだろう。その際に音で誰にも気付かれなかったのは驚くべき事だ。だが、しかし。
「うっるせぇぞバカイトが!!!1番最初に捕まったくせになに人様を笑ってんだよ!」
彼の、アカイトの髪の色は、赤である。そして葉の色は当然緑。
ミクならまだしもそんな彼が木の上にいたら目立ってしまってしかたがない。マフラーが落ちた落ちない以前の問題だ。
スタン、と忍者もかくやという軽やかさでアカイトは着地したが、それがまたカイトの笑いを誘ったらしく彼の声は止まらない。
苛々と歩いてきたアカイトがカイトを蹴り飛ばしてようやくそれがおさまった。
「つーか何?!俺さぁ、この前もその前もカイトのせいで見つかった気がすんだけど!!」
「俺のせいじゃないよ?」
「お前が俺を見つけて笑うからだろうが!」
「笑いたくて笑ってるんじゃないんだって」
二人がたらたらと話している間に、ミクとネルがそれぞれ違う方向から特攻をかけレンがそれに混乱している隙にミクが缶にスライディングしてついに缶が飛ぶかというところまでいったがその直前で我にかえったレンが缶を踏み人間の限界をはるかに超えた超高速でミクとネルの名前を言ったことから缶は宙を舞う事なくその胴をややへこませるのみだったりし、その数秒の攻防を何の気無しに眺める。
ネルとミクはとても悔しそうに地面を叩き、レンは冷や汗をかいたらしくそれを腕でぬぐった。そしてすぐにまた周囲を警戒し始める。
そんな様子にいつもより気合いの入り具合が違う事にカイトは気付いた。
「ねぇアカイト、なんか今回さ、みんな気合い入りまくってない?」
「はぁ?んなの当たり前に決まってんだろ」
「別に、ハードでも遊びなんだからさ、これは殺気立ちすぎな気がするんだけど」
「なにお前、知らねぇの?」
カイトの横で木の根に座り込んでいたアカイトは怪訝そうな顔でカイトを見上げる。そしてそれは同情と嘲りが混ざったものにみるみるうちに変わっていった。
そんな反応をまったく理解できず、カイトは頭上にクエスチョンマークを浮かべる。
「今回の缶ケリはな、缶蹴ったやつにご褒美があるんだよ。もちろん鬼は守りきったらな」
「ご褒美?」
「メイコとメイトがそう言ってたんだよ。他の奴らはみんな知ってたっぽいのにお前はほんと聞いてねーのな」
「うん。でもさ、ご褒美ってなんだろうね。ダッツとかだったら俺もっと頑張ったのに」
「そりゃ聞いてねぇからわかんねぇけど、お前そんなこと考えてる余裕ないと思うぜ」
「え?ただご褒美がもらえないってだけじゃないの?」
「あの二人が飴だけで釣ると思うか?」
「……………………何が、鞭?」
嫌な予感というかむしろ確信めいたものと共にカイトが恐る恐る尋ねる。
そんな彼と反比例するがごとく、ニヤリと嫌な感じの笑みでアカイトが返す。その間にもレンが辺りを駆け回り、ニガイトを脱落させた。
「鬼が誰も見つけないで缶蹴られるか、1番最初に捕まったやつは、罰ゲーム」
「い、いちばんさいしょって、……」
「その通り!お前だバカイト!!」
「うっそだあああああああ!!」
頭を抱えてうずくまるカイト。アカイトはわざとらしく溜息をついてカイトの肩に腕を回す。
「あーあー、罰ゲームってなんだろな?メイコとメイトだかんなー、何やんだろーな?」
「うぅ…」
「カイトの目の前で俺らがダッツ食べるとか、アイス断ちとか」
「うっ」
「リンのコスプレとか、もしかしたら報いを受けていただかれるかもな」
「うぁあ…」
そのままべしゃりと地面に倒れ込んだカイトを、アカイトは喜々として見ていた。
そんな二人に関係なくご褒美をもらう人間は着々と削られてゆき、貰う可能性を残すのは鬼であるレン、そしてテト、ルコ、リンの四名となっていた。
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